スキがない総長の大胆な溺愛

「え?」



今、何て言った?



驚いて優利の顔を見る。



――俺を庇って受けた傷



優利は、間違いなくそう言った。



「蒼羽のお腹の傷って…っ」

「え、あぁ……あの傷は…」



その時。

私は初めて知る。

あの日の夜の真相を。


あの日、優利を傷つけたのは誰で、

傷つけられたのは誰かという事を。



「夜野は…不良に絡まれた俺を庇ってくれたんだ」

「庇う…?」



「最初は口論だった。けど次第に喧嘩になって…不良はナイフを取り出した。

それで…」



――どけて…っ!!

――やめろ…っ!蒼羽!!



「刺されそうになった俺を、夜野が庇った。そして蒼羽が刺されたんだ」

「え…?」



蒼羽が、優利を庇って刺された?

どういうこと…?

頭が真っ白になる私に、優利が続ける。



「ずっと夜野に口止めされていたから言えなかったけど…明里。

俺は夜野に襲われたんじゃない。助けられたんだよ」