「おい、夜野…」



優利に名前を呼ばれて、蒼羽は「分かってる」と一言返す。


自分たちを取り囲む暴走族を、どこから倒していこうか――


今一番に考えないといけないのは、それだ。



「って事でよ。夜野と総長の弟」
「俺らが総長の代わりにボコるけど、いいよな?」



暴走族の連中が、ジリジリと間合いを詰めてくる。

その迫力に思わず体が硬くなった優利だけど、隣の蒼羽は笑っていた。

不敵な笑みを浮かべ、一つの質問をする。



「ねぇ聞いてもいい?お前らは、何ていう暴走族なの?」



すると、一番前にいたヤツが「あ?」と顔に青筋を入れる。

そして自信満々に答えた。



「月光だ。知らねぇのかよ?時代遅れな奴だな」