「うっす」



笑みを一切浮かべる事なく、嵐太は仲間にそう言った。

「待てよ!」と声を上げた優利を、蒼羽が静止する。



「やめといたら?今はアイツを追いかけるどころじゃないしね」



っていうか胸糞悪いから追いかけたくもないし



「触らぬ神に祟りなし…だよ。関わったら負けなんだ。それが例え…家族であろうとね」

「…っ、くそ!」



悔しそうな優利をチラリと見た後。

目の前に広がる暴走族の連中を、蒼羽は順番に見た。



「大狼にいたメンバーもいるね。ざわざわ解散させたのに、なんでまた嵐太の仲間になってるのかな?」



該当する連中は、気まずそうに蒼羽から顔を逸らした。

その光景は、嵐太が好き勝手していた「大狼」時代と何も変わっていない。



「せっかく…自由をあげたのにね」



言いたい事も言えないような暴走族に自ら身を投じるなんて、マヌケな話だ



「だから仲間とつるむのは嫌なんだ。仲間の顔なんていちいち気にしてたらキリがない。……一人になって本当にせいせいするよ」