「……はぁ」



青い顔をする優利に、蒼羽がため息交じりで近寄る。

「一つ教えといてあげる」と言葉を添えて。



「暴走族の世界はね、汚いんだ。だからさ…君みたいに真っすぐな目をしたヤツなんていないでしょ?」

「……っ」



蒼羽に言われて、思わず自分の兄を見た優利。

その横には、あの夜「加勢しようか?」と持ち掛けて来た男が立っていた。



「そうかお前…兄貴に言われて…。俺を騙したんだな…っ」

「(ニッ…)」



男は無言のまま、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

その男の代わりに喋ったのは嵐太だった。

まるで氷のように冷たい目で優利を見る。



「ふん、今頃気づいたのか。相変わらずのろまな弟だ」