「……本当だね」



問題児で有名な嵐太の弟・優利。

仲間に見放され見放した一匹狼・蒼羽。



それぞれの肩書は、いつの日も、ふと存在をちらつかせ…二人の顔に影を落とす。

その度に悩み、苦しんで来た。

二人は同じ悩みを抱え、同じ境遇にある者。


だけど…


同じ境遇にあるからと言って、仲良くなれるわけではないらしい。



「あの夜。口外したら明里を傷つける――なんて脅されなかったら、俺はとっくの昔に、明里に全ての事を話していた」

「…脅すなんて人聞きの悪い」

「脅しだろ、あれは」



あの夜。

蒼羽は全ての不良を片付けて退散する際に、優利に言った。



『この事を誰にも喋るな。もし喋ったら、君と仲の良い日向 明里を傷つける』