「…え？」



「悪者になる。明里にだけ、特別だよ」

「……とく、べつ」



「そう。特別」

「……～っ、」



蒼羽にとって、何のメリットもない特別は、

私の心に、深く重く響く。



「う～っ、」



心がぐちゃぐちゃになって、泣きわめく私から、蒼羽は決して離れなかった。

むしろ私を起こして、ぎゅっと抱きしめる。



「体調は？」

「どこも悪くない…」

「そっか。よかった」



ポンポン



元気がないのは心だと理解した彼は、まるで泣く赤ちゃんを宥めるように、私をあやし始める。



「ばぶーって言ってもいいよ？」

「…蒼羽嫌い」

「はは」



やっぱり赤ちゃんだと思われていた。

自分でも引くくらい泣いちゃったから、そう思われても仕方ないけど…。



「明里」