「わ~優利!退院おめでとう!元気そうで本当に良かった!」



勢いで誤魔化せないかと思ったけど…

ギュッと優利に手首を握られ、有無を言わない優利の迫力に思わず閉口してしまう。



「はぐらかすな、明里。

話がしたい…いいな?」

「……うん」



素直に頷いた私を見て、優利もホッと安堵の息をついたようだった。

キーンコーンカーンコーンという始業のチャイムを背に、私たちは屋上へと向かう。


ガチャ



「そろそろ四月とはいえ…やっぱり寒いな」

「自販機で温かい飲み物買っておいて正解だったね」



天気は晴れ。

眩し過ぎる太陽を見ながら、私と優利は、一番日が当たって温かそうな場所を見つけて座る。



「で」



座ってすぐ。

優利が困ったような、怒ったような…複雑な顔で話し掛けて来た。



「明里、今はどこに住んでるんだ?実家?」