昼休み、食堂で柚と一緒にご飯を食べようとしていると、クラスの男子に声をかけられた。



「桃、早食い対決しようぜ!」



どうやら、勝負の申し込みだったみたい。



完全に女としてみられていない私は、こうしてたまに男子の輪に入り早食い対決をしたりする。



「やきそばなら負けない!」



今回の食品はやきそば。私の大好物。


まだご飯を食べる前でよかった。




「「「おりゃぁぁ!」」」




男子数人と私。


食堂のど真ん中で白熱のバトルを繰り広げた。



「…やっぱ桃には負けるわ。」



「ふん!私に勝とうなんて一億年早いわ。」



実は早食い対決ではいまだに誰にも負けたことがない。




「桃先輩。」



振り返ると冬野椿の姿。



食堂で冬野椿と会うなんて新鮮。



でもいつもより少し声が低くて、一瞬誰の声かわからなかった。



「あ、冬野椿。」


名前を呼ぶといつも笑うのに、今日は笑わず真顔のまま。


それにチラリとも周りを見ようとしない。



私だけを一点に見つめてくる。



「今日一緒に帰りましょう。」




「わ、分かった。」