「桃先輩は可愛い」【完】




「俺は…好きじゃない人に可愛いなんて言わない。」




「…っ」



じゃあ冬野椿は、わたしのことが…?




「友達とカラオケに来たのに、どうしても桃先輩の声が聞きたくて電話して、おじさんにつけられてるって聞いて、荷物も全部忘れたまま、駆けつけるくらいだよ?」


困ったように笑う冬野椿に心が暖かくなる。



確かにあの日、何も荷物持ってなかったような。



「重症でしょ?」



それは…だいぶ重症かもしれない。



ふわふわして夢見たい。



「…っ、あの日は、ありがと。」


色々気持ちが遠回りして言えなかったお礼。




「どういたしまして」





「…好き。」



無意識に出た言葉に自分でもびっくりする。


…恥ずかしい。




「っ、桃先輩は世界一可愛い。」




そう言って、強く抱きしめられる。


…よく考えたらここ道だよ!



「ちょ、」





「もう離さない。俺だけの桃先輩です。」




そう微笑んで、ゆっくりと甘いキスが降り注いだ。


fin.