「桃先輩は可愛い」【完】




「桃先輩は俺のこと、好き?」



不安そうな冬野椿の顔。



そんなわけない。




好きなわけ。





「…うん」



心の中でどれだけ抗っても、




「だめ、ちゃんと俺の顔を見て。」



かれしれないなんて、程度じゃない。



悔しいけれど。



不服だけど。



こんなにも誰かに感情を揺らされることはなかった。



目が合うだけで痺れる感情。





これは間違いなく。




「冬野椿が好き」






真っ直ぐ目を見て。



もう認めてしまった。




「破壊力やばっ…、俺も桃先輩のこと好き。」




ふわっといつも以上に柔らかく笑った冬野椿は、そう言ってもう一度私のことを抱きしめた。





「…へ?私のこと好きだったの…?」



「………え?、当たり前じゃないですか…」




きょとんとしている冬野椿。





「…気づかなかった。」




てっきり私が勝手に好きになって、告白しただけかと。





「いやだって、毎日可愛いって言ってたじゃないですか」



確かにそうだけど、



「…可愛いとは言われてたけど、好きなんて言われてなかったから」




可愛いと好きはイコールではないでしょ。