「桃先輩っ!帰りましょ!」
あの気持ち悪いおじさんに後をつけられてから1週間。
あの日から冬野椿は毎日私を迎えにくる。
「…もう大丈夫だから。」
そして私は、あの保健室でのことからなぜか冬野椿を見るとイライラしてしまう。
「何言ってるんですか。だめです。」
柔らかい表情はどこへやら、真剣な面持ちになる。
「……、」
…どうしてこんな私を過剰なほど守ろうとしてくれるのか。
駅前の並木道。
まだここを通るだけで、体が強張ってしまう。
「桃先輩。大丈夫ですよ。」
そんな私に気づいて、微笑みかけてくれる。
いつも何も考えてなさそうなに。意外と人のこと見てるところとか、
…ずるい。
一気に顔が熱くなる。…そんなわけないと言い聞かせる。