「別にそんなんじゃないし…」
そもそも雄介は男友達で、柚のことが好きなんだし。
お昼のことだって、いつものこと。
「桃先輩はそう思ってても、相手は男なんです。」
「だ、大丈夫だよ。」
何をそんなに怒るのかわからなくて、ハテナが頭に浮かんだまま奴の言葉に返事をする。
なんでそんなこと気にするのか。
雄介だって、他の男友達だって、私のことどうこう思ってるなんて絶対にありえないから。
そんなことを考えていると、
「はぁ」
ーーードンっ
奴のため息と共に、手首を掴まれて、一瞬で壁に追い詰められる。
それもすごい力で。
「っ、」
目の前には、どこか余裕のないよう奴の顔。
少しでも動いたら触れてしまいそう。
心臓が暴れだす。
「何が大丈夫なんだよ。なら俺のこと押し退けてみろよ。」
いつの間にかタメ口だし。
吐息がかかる。綺麗な唇がイタズラに動く。