「桃先輩、帰りましょー!」



「…げ、またあんたか」


私の名前は夏向桃(なつむかいもも)高校2年生。


こんな可愛い名前がもったいないほど、私の性格は男まさりで大雑把。


兄が二人いるせいか、小さい頃からおままごとなんてそっちのけで、男の子に紛れて外で遊ぶことが多かった。



髪型はボブの今が人生で一番長い。



身長も165センチと可愛い女の子のサイズとは大違い。



水泳をずっとやっていて、大きい肩幅がコンプレックス。






「そんな顔しないでくださいよ」



あからさまに落ち込んだ様子を見せる彼の名前は、冬野椿(ふゆのつばき)


私より1学年下の高校一年生。



何故かわからないけど、最近やたら絡んでくる後輩。



こうやって気まぐれに私の教室まで迎えに来て、一緒に帰ろうと誘ってくる。




「…今日は柚と帰るから。」




「私は大丈夫だから、椿くんと帰って?」



小さくて、華奢な身体。きゅるきゅるんのお目目で見つめてくるのは私の大親友、秋町柚(あきまちゆず)



柚は家庭科部で普段一緒に帰ることができないから、今日は一緒に帰ろうと思ってたのに。