「――ほら、これでも食え」
ひとしきり泣いて落ち着いたくるみに、チョコレートを差し出す。
「これ、どうしたの…?」
「ホワイトデーだから」
「私別に橙矢にあげてないけど…」
「いいんだよ」
勝手にもらったから。
「…苦っ」
「は?そんなわけないだろ。それミルクチョコだぞ」
「どこが!?めっちゃビターなんだけど!」
言われて俺も一個食べてみたら、マジで苦かった。
「なんだこれ!!ビターじゃねぇか!!」
「だから言ったじゃん!!」
まさかの間違えて買っちまったのか…。
しかもこれ、結構カカオ効いてるやつでマジで苦い…。
「ったくもう!ま、私のホワイトチョコと一緒に食べたらちょうどいいかもね」
「それ…いいのかよ」
「いいよ。食べなきゃもったいないでしょ?」
包装紙をビリビリ破き、箱からホワイトチョコを取り出して口に入れる。
「おっ!甘苦くていい感じ!」
「俺にもよこせ」
確かにホワイトチョコも食べたら、口の中で甘さが広がり苦味が中和されたような気がする。
「悪くねぇな」
「でしょー?」
俺たちの恋は、まだ始まってない。
このビターチョコのように、まだ苦い。
でも、ホワイトチョコの甘さでとかしていけたら
「くるみ」
「何?」
「俺は、諦めないからな」



