「え、無理。橙矢、雑に乾かしそうだし。自分でやる」
「俺だってやりたかねーよ!」
「てかマジでうるさいんですけど〜。何騒いでたの…あ。」
「なんだよ?」
「…九竜くんもいたんだ…」
くるみは急に恥ずかしそうに、首に掛けていたタオルを頭に被る。
…っ、なんだよ、その反応は…。
「…俺は戻る」
九竜は踵を返して自室に戻った。
その後ろ姿を見つめるくるみの表情は見ていられるもんじゃなくて、タオルで頭をわしゃわしゃした。
「ちょっ!?何すんのよ橙矢!」
「バーカ!風邪引く前に部屋戻れ」
「はぁ!?何なの!」
なんなんだよ。
明らかに意識した顔しやがって。
俺や赤星の前では平気なくせに。
濡れた頭で部屋着のままうろつくくせに。
なんでだよ。
なんで九竜なんだよ――…。



