エッ……
出張?
書類の一番上にのっていた出張仮払いの書類を見ると、20日から30日までロンドン、ベルギー、オーストリアに出張と書いてある。
高橋さん。出張に行ってしまうの? 10日間も……。
その間、私はどうしたら……。
「どうかした? 何か、書類に書き漏れがあるか?」
「あっ、い、いえ、何でもないです。すみません」
「じゃ、よろしく」
「は、はい」
そう言って、高橋さんは自分の席に戻って行ったが、出張仮払いの書類を見ながらその下にある書類にも一応先に目を通そうと思って出張仮払いの書類と分けていると、3枚目ぐらいの書類の上部に、2センチ位はみ出している黄色い付箋が目に止まり、何だろうと思い、そこの部分に指を挟んで書類を捲った。
エッ……。
【仕事が終わったら、B2駐車場】
読んで直ぐに高橋さんを見たが、高橋さんは何事もなかったように普通に仕事をしている。でも、筆跡は確かに高橋さんのもの。
な、何……どうして? 仕事が終わったらって、こんな状況で……。
高橋さんは、噂になっていることを知らないんだろうか? まさか、そんなことはないはず。それなのに、何で?
こんな時に、もし2人で居るところを誰かに見られたりしたら、それこそ火に油を注ぐようなもの。
高橋さんが噂になっていることを知っててこんなこと書いているんだとしたら、何を考えているんだろう? 信じられない。
それに、何の用件なんだろう? 書類を纏めるどころか、この付箋のことが気になって仕方ない。
でも、そんなことも言っていられないので、急いで書類を纏めて出張の仮払い申請を総務に出しに行ってから、またパソコン画面に向かい、続きのデータを入力し始めた。
しかし、頭の中では先ほどの高橋さんの文字が何度も過ぎっては消え、過ぎっては消えている。
結局、今日も残業になってしまっているが、心の中である決心を固めていた。
今日は、真っ直ぐこのまま帰ろう。
高橋さんのメッセージは気づかなかったことにして、読んでないことにしよう。
もう、ただでさえ変な噂の件で、いっぱい、いっぱいなのに、そんな時に高橋さんに会ったら堪えてきたものが抑えきれなくなって、それこそ何を言い出すか分からない。
このままグッと堪えていれば、20日から高橋さんは出張だし……。
高橋さんが出張に行ってしまうのは、凄く寂しいし不安だけれど、高橋さんが出張から帰ってくる頃には、少し気持ちも落ち着いているかもしれないから、それでもし高橋さんが望むのであれば話をしよう。それまでは、仕事以外のことで高橋さんには会わないようにする。
そう決めたからには、高橋さんより早く帰らなければならない。
仕事が一区切りついたので、高橋さんがコピー機の方に行った隙に、中原さんに断って事務所を大急ぎで出た。
エレベーターも運良く直ぐ来て、慌てて乗って2階のボタンを押して扉を閉めた。
しかし、こういう時に限って各階止まりのようにかなり途中の階で押している人が多くて、その分時間のロスをしてしまった。
2階に着いて、急いで降りて警備本部に向かおうとしたその時、誰かに腕を掴まれていた。
出張?
書類の一番上にのっていた出張仮払いの書類を見ると、20日から30日までロンドン、ベルギー、オーストリアに出張と書いてある。
高橋さん。出張に行ってしまうの? 10日間も……。
その間、私はどうしたら……。
「どうかした? 何か、書類に書き漏れがあるか?」
「あっ、い、いえ、何でもないです。すみません」
「じゃ、よろしく」
「は、はい」
そう言って、高橋さんは自分の席に戻って行ったが、出張仮払いの書類を見ながらその下にある書類にも一応先に目を通そうと思って出張仮払いの書類と分けていると、3枚目ぐらいの書類の上部に、2センチ位はみ出している黄色い付箋が目に止まり、何だろうと思い、そこの部分に指を挟んで書類を捲った。
エッ……。
【仕事が終わったら、B2駐車場】
読んで直ぐに高橋さんを見たが、高橋さんは何事もなかったように普通に仕事をしている。でも、筆跡は確かに高橋さんのもの。
な、何……どうして? 仕事が終わったらって、こんな状況で……。
高橋さんは、噂になっていることを知らないんだろうか? まさか、そんなことはないはず。それなのに、何で?
こんな時に、もし2人で居るところを誰かに見られたりしたら、それこそ火に油を注ぐようなもの。
高橋さんが噂になっていることを知っててこんなこと書いているんだとしたら、何を考えているんだろう? 信じられない。
それに、何の用件なんだろう? 書類を纏めるどころか、この付箋のことが気になって仕方ない。
でも、そんなことも言っていられないので、急いで書類を纏めて出張の仮払い申請を総務に出しに行ってから、またパソコン画面に向かい、続きのデータを入力し始めた。
しかし、頭の中では先ほどの高橋さんの文字が何度も過ぎっては消え、過ぎっては消えている。
結局、今日も残業になってしまっているが、心の中である決心を固めていた。
今日は、真っ直ぐこのまま帰ろう。
高橋さんのメッセージは気づかなかったことにして、読んでないことにしよう。
もう、ただでさえ変な噂の件で、いっぱい、いっぱいなのに、そんな時に高橋さんに会ったら堪えてきたものが抑えきれなくなって、それこそ何を言い出すか分からない。
このままグッと堪えていれば、20日から高橋さんは出張だし……。
高橋さんが出張に行ってしまうのは、凄く寂しいし不安だけれど、高橋さんが出張から帰ってくる頃には、少し気持ちも落ち着いているかもしれないから、それでもし高橋さんが望むのであれば話をしよう。それまでは、仕事以外のことで高橋さんには会わないようにする。
そう決めたからには、高橋さんより早く帰らなければならない。
仕事が一区切りついたので、高橋さんがコピー機の方に行った隙に、中原さんに断って事務所を大急ぎで出た。
エレベーターも運良く直ぐ来て、慌てて乗って2階のボタンを押して扉を閉めた。
しかし、こういう時に限って各階止まりのようにかなり途中の階で押している人が多くて、その分時間のロスをしてしまった。
2階に着いて、急いで降りて警備本部に向かおうとしたその時、誰かに腕を掴まれていた。

