雑貨店に寄りたかったのは、昨日高橋さんに貰ったお土産のプチポワンのお守りを入れるケースか巾着のような袋が欲しかったから。
ちょうどいいグリーンのベルベット生地で出来ている小さめの巾着を見つけ、それを買ってお店を出ると、先ほどより雪が本降りになっていた。
急いで帰ろう。明日の朝は、凍ってしまうかな。嫌だな。少し、早く家を出なきゃ。
そんなことを考えながら交差点で信号待ちをしていて、ふと横を見ると、10人位の人を挟んだ先に高橋さんの姿が見えた。
高橋さんだ。
思わず近づいて行こうとしたが、直ぐに足を止めた。
横断歩道から少し外れた先に立っていた高橋さんが、手を挙げてタクシーを停めたのが見えて、停まったタクシーのドアが開いて先に乗ろうとしている女性の姿が見えた。
あの時の……。
ちょうど横断歩道の信号が青になって一斉に歩行者が渡り出したが、その流れに乗れずに歩道に立ち止まったままタクシーに乗ろうとしている高橋さんを見ていると、乗る直前にこちらを見た高橋さんと目が合ってしまった。
高橋さん。
高橋さんは、こちらをジッと見たまま、躊躇うこともなく先に乗った女性に話し掛けられたのか、車内に笑顔を向けながらそのままタクシーに乗り込んだ。
『悪いが、今は話せない』
高橋さんが昨日言っていた言葉の裏には……こういうことだったの?
信号が青になって、高橋さんと女性を乗せたタクシーが私の前を通り過ぎる。けれど、怖さと哀しさと寂しさでアスファルトに落ちていく雪を見ていた。地面に辿り着いた途端、溶けていく雪。それが、アスファルトを黒く染めていく。まるで、人の心の痛みみたい。痛みに染まってしまった今の私の心色は暗く、それがまた明るくなることは容易じゃなさそうで……。
ちょうどいいグリーンのベルベット生地で出来ている小さめの巾着を見つけ、それを買ってお店を出ると、先ほどより雪が本降りになっていた。
急いで帰ろう。明日の朝は、凍ってしまうかな。嫌だな。少し、早く家を出なきゃ。
そんなことを考えながら交差点で信号待ちをしていて、ふと横を見ると、10人位の人を挟んだ先に高橋さんの姿が見えた。
高橋さんだ。
思わず近づいて行こうとしたが、直ぐに足を止めた。
横断歩道から少し外れた先に立っていた高橋さんが、手を挙げてタクシーを停めたのが見えて、停まったタクシーのドアが開いて先に乗ろうとしている女性の姿が見えた。
あの時の……。
ちょうど横断歩道の信号が青になって一斉に歩行者が渡り出したが、その流れに乗れずに歩道に立ち止まったままタクシーに乗ろうとしている高橋さんを見ていると、乗る直前にこちらを見た高橋さんと目が合ってしまった。
高橋さん。
高橋さんは、こちらをジッと見たまま、躊躇うこともなく先に乗った女性に話し掛けられたのか、車内に笑顔を向けながらそのままタクシーに乗り込んだ。
『悪いが、今は話せない』
高橋さんが昨日言っていた言葉の裏には……こういうことだったの?
信号が青になって、高橋さんと女性を乗せたタクシーが私の前を通り過ぎる。けれど、怖さと哀しさと寂しさでアスファルトに落ちていく雪を見ていた。地面に辿り着いた途端、溶けていく雪。それが、アスファルトを黒く染めていく。まるで、人の心の痛みみたい。痛みに染まってしまった今の私の心色は暗く、それがまた明るくなることは容易じゃなさそうで……。

