高橋さんの言葉を心の中で何度も繰り返しながら、声にならなくて黙ったまま頷いた。
すると、高橋さんが体を離して、私の顔を覗き込んだ。
「何で泣く?」
嘘。
スッと、高橋さんが涙を親指で拭ってくれて、初めて泣いていることに気づいた。
「相変わらず、泣き虫だな」
高橋さんは、私の右頬を人差し指で上から下に向かって3ヵ所押して涙が流れる真似をすると、優しく微笑みながらゆっくり両手を回して抱きしめてくれた。
「上司だから……これも仕事か。フッ……」
高橋さん?
「嫌いだったら、こんなことはしない」
エッ……。
そう言うと、高橋さんは私の髪の毛をクシャッとしながら左手で撫でた。
「そうだ」
高橋さんは体を離すと、後部座席に置いてあったバッグの中から何かを取りだして、私に向き直った。
「出張のお土産だ」
「えっ? 私に……ですか?」
「他に、此処に誰がいる?」
高橋さんは微笑みながら、かなり小さい四角い箱と、筒包みされたものを私の手を取ってのせた。
あっ……。
前にも、こんなことがあった。
去年のクリスマスの頃、高橋さんとアドベンチャーワールドに行った帰りに、綺麗なクリスマスイルミネーションの前で……。
「あ、あの……」
「開けてごらん」
「はい」
あまりにも驚いてしまい、落ち着かないまま何も考えずに、ラッピングされた小さい四角い箱の方から開けると、中から本当に小さな5センチ四方ぐらいの細かい綺麗な刺繍が施された恐らくコインが5枚ぐらいしか入らないような、所謂、ガマ口が出て来た。
「綺麗……」
高橋さんがルームライトを点けてくれたので、よく見ると生成の生地に本当に細かい繊細なバラの刺繍がしてあった。
「この刺繍は、プチポワンといって、オーストリアの伝統的な刺繍なんだが、今じゃ、殆ど職人もいなくなってしまったから、代々、継ぐ人もいなくなって、ごく限られた人しかもう出来る人がいないらしい。最近、出回っているのは、殆どアジアで量産されているもので、オーストリアで生産されたものは、もう日本等、海外ではあまり見掛けられないそうだ」
「そうなんですか。でも、こんな貴重なもの……」
「そっちも、開けてごらん」
高橋さんに言われるまま、もう1つの筒包みになっているものを開けてみると、紙の素材で出来ている青い箱が出て来た。
何だろう?
蓋にはゴールドを背景色とした女性の肖像画が貼られていて、リボンが掛けられていた。リボンを解いてシールを剥がしてそっと蓋を開けると、王冠の印字と何か文字が書いてあるカードが入っていたが、英語ではなくて何て書いてあるのか分からない。そのカードを取って被せてあった紙を外すと、中には綺麗なブルーの小さな粒の周りに白い粉がまぶしてあるものがたくさん入っていた。
すると、高橋さんが体を離して、私の顔を覗き込んだ。
「何で泣く?」
嘘。
スッと、高橋さんが涙を親指で拭ってくれて、初めて泣いていることに気づいた。
「相変わらず、泣き虫だな」
高橋さんは、私の右頬を人差し指で上から下に向かって3ヵ所押して涙が流れる真似をすると、優しく微笑みながらゆっくり両手を回して抱きしめてくれた。
「上司だから……これも仕事か。フッ……」
高橋さん?
「嫌いだったら、こんなことはしない」
エッ……。
そう言うと、高橋さんは私の髪の毛をクシャッとしながら左手で撫でた。
「そうだ」
高橋さんは体を離すと、後部座席に置いてあったバッグの中から何かを取りだして、私に向き直った。
「出張のお土産だ」
「えっ? 私に……ですか?」
「他に、此処に誰がいる?」
高橋さんは微笑みながら、かなり小さい四角い箱と、筒包みされたものを私の手を取ってのせた。
あっ……。
前にも、こんなことがあった。
去年のクリスマスの頃、高橋さんとアドベンチャーワールドに行った帰りに、綺麗なクリスマスイルミネーションの前で……。
「あ、あの……」
「開けてごらん」
「はい」
あまりにも驚いてしまい、落ち着かないまま何も考えずに、ラッピングされた小さい四角い箱の方から開けると、中から本当に小さな5センチ四方ぐらいの細かい綺麗な刺繍が施された恐らくコインが5枚ぐらいしか入らないような、所謂、ガマ口が出て来た。
「綺麗……」
高橋さんがルームライトを点けてくれたので、よく見ると生成の生地に本当に細かい繊細なバラの刺繍がしてあった。
「この刺繍は、プチポワンといって、オーストリアの伝統的な刺繍なんだが、今じゃ、殆ど職人もいなくなってしまったから、代々、継ぐ人もいなくなって、ごく限られた人しかもう出来る人がいないらしい。最近、出回っているのは、殆どアジアで量産されているもので、オーストリアで生産されたものは、もう日本等、海外ではあまり見掛けられないそうだ」
「そうなんですか。でも、こんな貴重なもの……」
「そっちも、開けてごらん」
高橋さんに言われるまま、もう1つの筒包みになっているものを開けてみると、紙の素材で出来ている青い箱が出て来た。
何だろう?
蓋にはゴールドを背景色とした女性の肖像画が貼られていて、リボンが掛けられていた。リボンを解いてシールを剥がしてそっと蓋を開けると、王冠の印字と何か文字が書いてあるカードが入っていたが、英語ではなくて何て書いてあるのか分からない。そのカードを取って被せてあった紙を外すと、中には綺麗なブルーの小さな粒の周りに白い粉がまぶしてあるものがたくさん入っていた。

