青木さんは、何も言えなくなってしまい俯いた。
青木さんから視線を逸らせると、高橋さんは吸っていたタバコを灰皿に押しつけて消した。
「そういうことだ」
「すみませんでした」
青木さんはお辞儀をすると、足早に立ち去って行った。
何が起こっていたのか、直ぐ近くで見聞きしていたはずなのに、口を開けたまま呆気にとられて、ただ高橋さんを見つめていた。
その高橋さんは……というと、運転席の窓から顔を出して青木さんが去って行った方を見ている。
「あーあ、行っちゃった」
そう言って顔を車内に戻すと、こちらを向いて悪戯っぽく笑った。
高橋さん……。
先ほどの、相手に言い返す隙すら与えない言葉を羅列していた人と同じ人物とは、まったく思えない。あの辛辣な言葉を並べて、理詰めで相手に迫るのも高橋さんならば、今、目の前で悪戯っぽく笑う、少年のような雰囲気の貴方も同じ高橋さんで……。
「お前、何、ボーッとしてるんだ?」
エッ……。
「あっ。す、すみません。つい、考え事してまして」
「考え事してなくても、何時もそうだろ?」
はい?
「そ、そんなことないですって」
「そうか? 俺には、何時も同じに見える」
「高橋さん!」
「はい」
な、何?
いきなり、返事をされてしまった。
「何でしょう? しかし、この口が本当に素直じゃないんだよな……」
た、高橋さん?
高橋さんは、そう言ってこちらに体を向けると、右手の親指で私の唇をなぞりながら怪しく微笑んで、顔を近づけた。
「ああ……あ、あの……」
「俺が出張に行く前から、何隠してる?」
何隠してるって……。
「な、何も隠してないです」
高橋さんの顔が度アップで迫ってきていて、間近に迫ったその鋭い瞳をまともに見ることが出来ない。
「俺に、話があったんじゃないのか?」
「それは……」
ああ、やっぱり怖くて聞けない。
聞いたところで、応えは分かっているんだもの。だったら……哀しくならずに済むのなら、このまま聞かないでおきたい。
「も、もう、大丈夫です」
青木さんから視線を逸らせると、高橋さんは吸っていたタバコを灰皿に押しつけて消した。
「そういうことだ」
「すみませんでした」
青木さんはお辞儀をすると、足早に立ち去って行った。
何が起こっていたのか、直ぐ近くで見聞きしていたはずなのに、口を開けたまま呆気にとられて、ただ高橋さんを見つめていた。
その高橋さんは……というと、運転席の窓から顔を出して青木さんが去って行った方を見ている。
「あーあ、行っちゃった」
そう言って顔を車内に戻すと、こちらを向いて悪戯っぽく笑った。
高橋さん……。
先ほどの、相手に言い返す隙すら与えない言葉を羅列していた人と同じ人物とは、まったく思えない。あの辛辣な言葉を並べて、理詰めで相手に迫るのも高橋さんならば、今、目の前で悪戯っぽく笑う、少年のような雰囲気の貴方も同じ高橋さんで……。
「お前、何、ボーッとしてるんだ?」
エッ……。
「あっ。す、すみません。つい、考え事してまして」
「考え事してなくても、何時もそうだろ?」
はい?
「そ、そんなことないですって」
「そうか? 俺には、何時も同じに見える」
「高橋さん!」
「はい」
な、何?
いきなり、返事をされてしまった。
「何でしょう? しかし、この口が本当に素直じゃないんだよな……」
た、高橋さん?
高橋さんは、そう言ってこちらに体を向けると、右手の親指で私の唇をなぞりながら怪しく微笑んで、顔を近づけた。
「ああ……あ、あの……」
「俺が出張に行く前から、何隠してる?」
何隠してるって……。
「な、何も隠してないです」
高橋さんの顔が度アップで迫ってきていて、間近に迫ったその鋭い瞳をまともに見ることが出来ない。
「俺に、話があったんじゃないのか?」
「それは……」
ああ、やっぱり怖くて聞けない。
聞いたところで、応えは分かっているんだもの。だったら……哀しくならずに済むのなら、このまま聞かないでおきたい。
「も、もう、大丈夫です」

