新そよ風に乗って ④ 〜焦心〜

「まゆみ。ごめんね。せっかく、アドバイスしてくれたのに、ちゃんと話せなくて」
「なぁに、言ってるのよ。私に謝らなくていいって。陽子。もうこの際、週末の出逢いで鬱憤晴らしなさいよ。男は、ハイブリッジだけじゃないんだから」
「うん……でも、今はまだそんな気分じゃ……」
とても、そんな気分にはなれなかった。
高橋さんにきっぱり断られたこともショックだったけれど、今は高橋さんが明日から出張に行ってしまうことの寂しさの方が勝っていて、明日から10日間もあの席に高橋さんが座っていないと思っただけで、寂しくて身も心も寒かった。
「そんな気分じゃなくても、気分転換ってこともあるでしょ? 部屋で悶々としていて、余計なこと考えちゃうよりは、みんなで楽しい話しながらストレス発散してリフレッシュするのよ。心のリセットも大切だからね」
まゆみ。
「きっと陽子のことだから、週末は家で静かにしてようとか思ってない? それも悪くないけど、内向的な行動より、こういう時は外向的に気持ちも体も持っていかないと」
「ありがとう。まゆみ」
まゆみの押しに圧倒されながらも、何となく週末は家でのんびり過ごしたいと思っていた。最近、少し疲れ気味だったこともある。
「今日は、ご飯食べて帰ろうか」
「えっ?」
「明日も仕事だけど、後1日だし。何だかお腹空いちゃって、家まで持たない気がする。ねえ、いいでしょ?」
まゆみ……。
「うん。いいよ。ご飯食べて帰ろうね」
まゆみは、きっと私を心配してくれてそう言ってくれたんだと思った。
コーヒーを飲み終えてお店を出てから、パスタを食べて帰ろうということになり、大好きなカルボナーラを食べると、お腹がいっぱいになったせいか少し元気が出てきて体も温かくなっていた。
「さて、そろそろ帰ろうか。明日も仕事あるし」
「うん。そうだね」
会計を済ませて外に出ると、瞬時に肩をすぼめてしまった。
1月の夜は寒く、コートを着てスヌードをして手袋までしているのに、寒さで一気に体感温度が下がっていくのが分かる。