今だったら、話せるかな?
だけど、仕事の話じゃないからまずいかな。
でも、終わったら話があるって言えば……。
いろいろなことを短い時間の中で思い浮かべたが、今を逸してしまったらもう話せないと思い、深呼吸しながら席を立っていた。
一歩ずつ、高橋さんの席の方へと近づいていくにつれ、鼓動が速くなって手が冷たくなっていくのが分かる。
自分で切り開かないと、駄目なんだ。
余計な蟠りや誤解は……。
まゆみの言葉が、背中を押してくれていた。
そして、高橋さんの席の横に立った。
「あの……」
私の声に、高橋さんがゆっくりとパソコンの画面から視線を私に向けた。
「あの……今日、仕事……」
「高橋さん。すみません、至急で捺印下さい」
エッ……。
途中まで言い掛けたところで、後ろから誰かがスッと高橋さんの机の上に書類を置くと、私の隣にその人は立っていた。
「申し訳ないが、今、矢島さんと話をしている」
高橋さん。
「でも、至急なんです」
「至急だったとしても、そう5分10分を争う問題ですか? 書類を確認する時間もなく、捺印だけ押すことは出来ませんよね?」
「そ、それは……」
仕事が最優先だ。
私の話は、仕事の話じゃない。
「あ、あの、私でしたら急ぎではないので構いませんから、どうぞお先に」
「本当ですか? すみません」
その人は、とても嬉しそうに私を見ていたが、その視界の端に入った高橋さんの視線は、ジッと私を捉えていたのが分かった。
「高橋さん。すみません、また後で伺います」
「分かった」
急いで、高橋さんの視線から逃れるように席に戻ろうと思ったが、そのままトイレに向かい、気持ちを落ち着かせてから席に戻ると、さっきの人はもう居なくなっていた。
このまま、また高橋さんの席に向かって話をしようか、どうしようか迷いながら、取り敢えず自分の席に着くと、高橋さんはコピー機の方へと席を立って行ってしまった。
高橋さんが席を立ったので、何だかホッとしたような気分になっていたが、まだ話せていないことを考えた途端、直ぐにまた落ち着かなくなってしまった。
何時、話そう……。
書類に目を通しながら、このままではいけないと思いつつ、先に進めないジレンマと意気地のなさに劣等感でいっぱいになっている。
ふと、書類を見ながら人の気配を感じて顔を上げると、高橋さんが目の前に立っていた。
嘘。
「さっき、途中になってしまって悪かったな」
だけど、仕事の話じゃないからまずいかな。
でも、終わったら話があるって言えば……。
いろいろなことを短い時間の中で思い浮かべたが、今を逸してしまったらもう話せないと思い、深呼吸しながら席を立っていた。
一歩ずつ、高橋さんの席の方へと近づいていくにつれ、鼓動が速くなって手が冷たくなっていくのが分かる。
自分で切り開かないと、駄目なんだ。
余計な蟠りや誤解は……。
まゆみの言葉が、背中を押してくれていた。
そして、高橋さんの席の横に立った。
「あの……」
私の声に、高橋さんがゆっくりとパソコンの画面から視線を私に向けた。
「あの……今日、仕事……」
「高橋さん。すみません、至急で捺印下さい」
エッ……。
途中まで言い掛けたところで、後ろから誰かがスッと高橋さんの机の上に書類を置くと、私の隣にその人は立っていた。
「申し訳ないが、今、矢島さんと話をしている」
高橋さん。
「でも、至急なんです」
「至急だったとしても、そう5分10分を争う問題ですか? 書類を確認する時間もなく、捺印だけ押すことは出来ませんよね?」
「そ、それは……」
仕事が最優先だ。
私の話は、仕事の話じゃない。
「あ、あの、私でしたら急ぎではないので構いませんから、どうぞお先に」
「本当ですか? すみません」
その人は、とても嬉しそうに私を見ていたが、その視界の端に入った高橋さんの視線は、ジッと私を捉えていたのが分かった。
「高橋さん。すみません、また後で伺います」
「分かった」
急いで、高橋さんの視線から逃れるように席に戻ろうと思ったが、そのままトイレに向かい、気持ちを落ち着かせてから席に戻ると、さっきの人はもう居なくなっていた。
このまま、また高橋さんの席に向かって話をしようか、どうしようか迷いながら、取り敢えず自分の席に着くと、高橋さんはコピー機の方へと席を立って行ってしまった。
高橋さんが席を立ったので、何だかホッとしたような気分になっていたが、まだ話せていないことを考えた途端、直ぐにまた落ち着かなくなってしまった。
何時、話そう……。
書類に目を通しながら、このままではいけないと思いつつ、先に進めないジレンマと意気地のなさに劣等感でいっぱいになっている。
ふと、書類を見ながら人の気配を感じて顔を上げると、高橋さんが目の前に立っていた。
嘘。
「さっき、途中になってしまって悪かったな」

