「……」
高橋さんにお辞儀をしながら、いったい私は、何を言おうとしているんだろう? と考えていた。そう言えば、高橋さん。話したいことがあるって……。
「もう、今日は早く寝た方がいい」
エッ……。
頭を上げると、高橋さんがジャケットを羽織っていた。
「あの……」
バッグを手に持って、玄関に向かおうとしている高橋さんを慌てて呼び止めると、高橋さんは靴を履き終えてから、ようやくこちらを見てくれた。
「あの、高橋さん。私に、何かお話が……」
すると、高橋さんは黙ったままジッと私を見ていたが、その瞳は先ほどまでの優しい温かな瞳ではなく、何も映さず色を成さないような、漆黒の冷たい瞳そのものだった。
「お前がそう思っているのなら、それでいい。話すことは、もうない」
高橋さん……。
「ご馳走様。戸締まりちゃんとしろよ。おやすみ」
そう言うと、高橋さんはドアを開けてこちらを振り返ることもなく出て行ってしまった。
『お前がそう思っているのなら、それでいい。話すことは、もうない』
駄目押しされたように、高橋さんの言葉が胸に突き刺さったまま、玄関に座り込んでいた。
「はあ? 何、それ? 自分から話があると言ってたのに、自己完結させて帰っちゃうって、どういうこと?」
まゆみに昨日の経緯を話すと、いきなりテーブルの上に何本か置いてあったシュガースティックをすべて掴んで意味もなくテーブルの上で素早く掌で軽くタタキながら高さを揃えていた。
「でも……」
シュガースティックの高さを揃えていたまゆみの手が止まると、また元のあった場所にそのシュガースティックを戻してこちらを見た。
その一連の動作を見ていて、まゆみが苛立っているのが分かる。
「それって、どっちにも取れるわよね?」
「どっちにも?」
高橋さんにお辞儀をしながら、いったい私は、何を言おうとしているんだろう? と考えていた。そう言えば、高橋さん。話したいことがあるって……。
「もう、今日は早く寝た方がいい」
エッ……。
頭を上げると、高橋さんがジャケットを羽織っていた。
「あの……」
バッグを手に持って、玄関に向かおうとしている高橋さんを慌てて呼び止めると、高橋さんは靴を履き終えてから、ようやくこちらを見てくれた。
「あの、高橋さん。私に、何かお話が……」
すると、高橋さんは黙ったままジッと私を見ていたが、その瞳は先ほどまでの優しい温かな瞳ではなく、何も映さず色を成さないような、漆黒の冷たい瞳そのものだった。
「お前がそう思っているのなら、それでいい。話すことは、もうない」
高橋さん……。
「ご馳走様。戸締まりちゃんとしろよ。おやすみ」
そう言うと、高橋さんはドアを開けてこちらを振り返ることもなく出て行ってしまった。
『お前がそう思っているのなら、それでいい。話すことは、もうない』
駄目押しされたように、高橋さんの言葉が胸に突き刺さったまま、玄関に座り込んでいた。
「はあ? 何、それ? 自分から話があると言ってたのに、自己完結させて帰っちゃうって、どういうこと?」
まゆみに昨日の経緯を話すと、いきなりテーブルの上に何本か置いてあったシュガースティックをすべて掴んで意味もなくテーブルの上で素早く掌で軽くタタキながら高さを揃えていた。
「でも……」
シュガースティックの高さを揃えていたまゆみの手が止まると、また元のあった場所にそのシュガースティックを戻してこちらを見た。
その一連の動作を見ていて、まゆみが苛立っているのが分かる。
「それって、どっちにも取れるわよね?」
「どっちにも?」

