新そよ風に乗って ④ 〜焦心〜

仕事に集中していたが、どうも朝から背中がゾクゾクして仕方がない。あまり食欲もなかったので、ランチに少しだけサンドイッチを口にしたが、その後から気分も悪くなってきている。
何だか、気分が悪い……。
トイレにでも行って、気分転換してこようかな。
そう思って席を立った、その時だった。
うっ。
気持ち悪い。
椅子から立ち上がった途端、気持ちが悪くなって、口を押さえたまま急いでトイレに駆け込んだ。
気持ち悪い……どうしたんだろう?
苦しいのと気持ち悪いのとで、暫くトイレの中でジッとしゃがんでいたが、少し落ち着いてきたので席に戻ると、何となく周りの視線を感じた。
「大丈夫か?」
「矢島さん。大丈夫?」
急に、私が口を押さえてトイレに立ったので、心配そうに高橋さんと中原さんがこちらを見ていた。
「はい。すみません。もう、大丈夫です」
変な話だが、吐いたら少しスッキリした感じだった。
「帰るか?」
エッ……。
こんな忙しい時に、帰るわけにはいかない。それに、今、此処で帰ったりしたら、また何を言われるか……。
「あの、本当に大丈夫ですから」
高橋さんにも、これ以上、心配を掛けたくない。
「矢島さん。無理しない方がいいよ?」
中原さん。
「そうだな。大事をとって、今日は……」
「つわりじゃない?」
な、何?
「うん。そうじゃない?」
「きっと、そうよ。あの噂、本当だったのね」
そんな声が、何処からともなく聞こえてきた。
周りを見渡すと、黒沢さんとその取り巻きがこちらを見ながら盛んに何かを言っているのが見えた。
ああ、そんなんじゃないのに……。