言い終えた高橋さんが、振り向いてこちらに向かって歩みを進めながら、まるで私の心の内を見透かすような鋭い視線を向けていた。
「嫌なことから逃げるのは、昔のお前から何も進歩していなかったってことの証か?」
そんな……。
鋭い刃物で、心臓を突かれたような気分だった。
「お前の仕事に対する気持ちは、そんなもんだったのか? 仕事に対して、そんな無責任な気持ちだったのか?」
「それは……。それは、違います」
それだけは違う。
確かに、嫌なことから逃げ出したいのも事実。
犯してしまったミスに対して、自分自身から目を背けていたのも……。
「だったら、何なんだ?」
上手く、言葉に出来ない。
「それは……」
「逃げるのは、容易い。だが、その後に待っているものは、自問自答の後悔地獄から、また逃げたい自分だけだ。何ら、解決にも進歩にもならない。誰だって、嫌なことから逃げ出したいと思う気持ちはある。だが、自分の持っている知力、体力、精神力、その全て注ぎ込みながら悩み苦しんでこそ、次の一歩が踏み出せる。せっかく自分が持ち合わせているそれを使うこともせずに逃げてばかりいたら、変化のないつまらない毎日になるだけだ」
きっと、高橋さんの言うとおりなんだと思う。
「でも私には、高橋さんのような自信も経験もなくて、みんなの足を引っ張ってばかりいて……」
逃げたいと思ったのは、本心だったりもする。
「誰だって、逃げ出したくなることはある。現に俺だって、しょっちゅうある」
嘘。
「それでも逃げずに留まっていられるのは、逃げた後に残るものは、負の境地以外には何もないから。分かっていて、そんな世界に身を置くほど馬鹿げた話もないだろう? そんな悔しい思いはしたくないから、踵に力を入れて踏み留まるんだ」
高橋さん……。
「嫌なことから逃げるのは、昔のお前から何も進歩していなかったってことの証か?」
そんな……。
鋭い刃物で、心臓を突かれたような気分だった。
「お前の仕事に対する気持ちは、そんなもんだったのか? 仕事に対して、そんな無責任な気持ちだったのか?」
「それは……。それは、違います」
それだけは違う。
確かに、嫌なことから逃げ出したいのも事実。
犯してしまったミスに対して、自分自身から目を背けていたのも……。
「だったら、何なんだ?」
上手く、言葉に出来ない。
「それは……」
「逃げるのは、容易い。だが、その後に待っているものは、自問自答の後悔地獄から、また逃げたい自分だけだ。何ら、解決にも進歩にもならない。誰だって、嫌なことから逃げ出したいと思う気持ちはある。だが、自分の持っている知力、体力、精神力、その全て注ぎ込みながら悩み苦しんでこそ、次の一歩が踏み出せる。せっかく自分が持ち合わせているそれを使うこともせずに逃げてばかりいたら、変化のないつまらない毎日になるだけだ」
きっと、高橋さんの言うとおりなんだと思う。
「でも私には、高橋さんのような自信も経験もなくて、みんなの足を引っ張ってばかりいて……」
逃げたいと思ったのは、本心だったりもする。
「誰だって、逃げ出したくなることはある。現に俺だって、しょっちゅうある」
嘘。
「それでも逃げずに留まっていられるのは、逃げた後に残るものは、負の境地以外には何もないから。分かっていて、そんな世界に身を置くほど馬鹿げた話もないだろう? そんな悔しい思いはしたくないから、踵に力を入れて踏み留まるんだ」
高橋さん……。

