新そよ風に乗って ④ 〜焦心〜

「フッ……。明良と仁と、まだ一緒に居たかったか?」
「えっ? あ、あの、そんな……そういうわけじゃなくて、その……」
逆に聞かれて、困ってしまう。
「多分、明良達は、寄り道しながら帰るんじゃないか」
「そうなんですか……」
何となく、一緒に帰りたかった。
「明日から、また仕事だ」
エッ……。
「昨日も言ったが、早く帰って家でゆっくりした方がいい。疲れているだろう?」
高橋さん。
「まだ10時過ぎだ。今から帰って、途中でランチをしても15時迄には着く。それから家で、少しはゆっくり出来るだろうから」
高橋さんは、私の体を心配してくれていたんだ。
「ありがとうございます」
「自称、主治医の明良もそう言ってた」
明良さんが?
「何だか、皆さんに心配をお掛けしてしまって、すみません」
「謝ることはない。人間、体が資本だから当然だ」
高橋さんもそうだけれど、明良さんも仁さんも優しい人達なんだと改めて感じた。
そんなとても楽しい温泉旅行は、あっという間に時間が過ぎてしまったけれど、少しだけ 高橋さんのことを知ることが出来た旅行でもあって、良い思い出となった。