新そよ風に乗って ④ 〜焦心〜

「それがどうした。鉄の塊で売って、何が悪い?」
「あっ。開き直ったな」
朝からテンションの高い会話で、聞いているだけでとても楽しくて、食後のコーヒーを2杯もお代わりしてしまった。
「さて、片付けが終わったら、支度してそろそろ行くかな」
「そうだね」
片付けをしながら、後ろで高橋さんと明良さんのこれから何処かに行くような会話が聞こえた。何処に行くのかな?
部屋に戻って帰り支度を済ませると、高橋さんが私の荷物を車のトランクに載せてくれた。
「それじゃ、先に行くから。またな」
エッ……。
先に行くって? これから、何処かに行くんじゃないの?
「分かった。気をつけて」
何で、みんなで一緒に行かないの?
「陽子ちゃん。またね」
あれ? もう帰るの?
「は、はい。誘って下さって、ありがとうございました。とても、楽しかったです」
「また、みんなで一緒に来ようね」
明良さん。また、誘ってくれるの?
「はい。明良さん。ありがとうございます」
「気をつけて」
何となく腑に落ちなかったけれど、高橋さんが助手席のドアを開けてくれていたので車に乗ると、明良さんと仁さんが手を振って見送ってくれた。
明良さんと仁さんの姿を見えなくなって前を向くと、高橋さんがETCカードをセットしていた。
「あの……」
「ん?」
「もう、帰るんですか?」
「ああ」
やっぱり、帰るんだ。
「明良さんと仁さんは、何処かにこれから行かれるんですか?」
気になっていて、高橋さんに聞いてみた。