新そよ風に乗って ④ 〜焦心〜

「ほら、早くベッドに入って」
「あっ……はい」
素直に言われたとおり、カーディガンを脱いで急いでベッドに入ると、高橋さんが電気を消してベッドに入ってきた。
目がまだ慣れてないから周囲の状況が分からず、高橋さんの顔もよく見えないし、さっきみたいに脇の下に入れとも言ってくれない。きっと、呆れているのかな? それとも、もう寝たかったのに私がなかなか戻って来なくて迷惑だったとか?
いろいろ考えていたら不安材料があり過ぎて、高橋さんが今、どんな表情をしているのか気になって仕方がない。左側で寝ている高橋さんの顔をジッと目を凝らして必死に見つめていると、少し目が慣れてきてやっと高橋さんの横顔が見えた。
やっぱり、綺麗な横顔。鼻も高いし……。
つい見入ってしまっていると、突然、高橋さんが右目だけを開けてこちらを向いた。
「何?」
うっ。
そして体を横向きにすると、右手で肘枕をしながら私を見た。
「さっきから人の顔、何、ジロジロ見てるんだ?」
もしかして、バレていたの?
「い、いえ……その……素敵なお顔だなぁって思って、アハハッ……」
驚いて舞い上がりながら見え透いた誤魔化しの言葉を並べていると、高橋さんが私の頭の上から右腕を伸ばした。
「ほら」
あっ……。
さっきと同じように、高橋さんが右脇を開けてくれている。
「はい……」
返事までしてしまい、そのまま高橋さんの脇の下に体を移動させた。
「フッ……素直だな」
ひゃっ。
いきなり高橋さんの右手が、右頬に触れた。
「お前。冷え切ってるジャン」
「えっ?」