さっき寝る前に、トイレに行っておけば良かった。トイレは2階だし、部屋の電気は消えていて暗いから、ちょっと怖い感じがして何だか行きづらい。でも、やっぱり落ち着かないので、意を決して立ち上がってドアの前に立つと、ドア越しに高橋さんと仁さんの会話が聞こえてきて、ドアノブを持とうとした手を引っ込めた。
「……だけど……もう大丈夫なのか? 吹っ切れたのかよ?」
「ん? さぁな。この季節が来ると、やっぱり……俺は、あれから何も成長出来てない」
「あれ、確か……お前の誕生日の前日だっただろ」
な、何?
高橋さんの誕生日の前日に、何かあったの?
「ミサさんが……」
エッ……。
あっ。聞いちゃいけない。聞いては、いけないんだ。ううん。聞きたくない。
仁さんの口からミサさん名前が聞こえてきて、ドアから後ずさりしながらそっと離れた。
誕生日の前日に、何かがあったんだ。
聞いちゃいけないことだったのに、聞きたくなかったはずなのに……。いざ、聞いてしまってから、その言葉の重要性に改めて気づいた。私自身、こんなにもミサさんのことを気にしていたんだ。
高橋さんが、愛した人。その愛した人を、忘れられないと言った高橋さん。仁さんとの会話で、確信してしまった。
高橋さんの心の中には、まだミサさんが居る。
いつも高橋さんが言っている 『上司として』 という言葉が頭の中でぐるぐる廻っていた。
私は……。
結局、トイレに行きたいのとミサさんのことで頭がいっぱいになり、ベッドには入っていたが、とても眠れるような雰囲気ではなかった。
どのぐらい、時間が経ったのだろう。高橋さんが、ドアをそっと開けて戻ってくると、点けてあったスタンドを消して静かに布団を捲ってベッドに入って来た。起きていることがバレないように、ジッと動かないで静かにしていると、高橋さんも眠ったみたいで静かになった。
今だ。今しかない。
「……だけど……もう大丈夫なのか? 吹っ切れたのかよ?」
「ん? さぁな。この季節が来ると、やっぱり……俺は、あれから何も成長出来てない」
「あれ、確か……お前の誕生日の前日だっただろ」
な、何?
高橋さんの誕生日の前日に、何かあったの?
「ミサさんが……」
エッ……。
あっ。聞いちゃいけない。聞いては、いけないんだ。ううん。聞きたくない。
仁さんの口からミサさん名前が聞こえてきて、ドアから後ずさりしながらそっと離れた。
誕生日の前日に、何かがあったんだ。
聞いちゃいけないことだったのに、聞きたくなかったはずなのに……。いざ、聞いてしまってから、その言葉の重要性に改めて気づいた。私自身、こんなにもミサさんのことを気にしていたんだ。
高橋さんが、愛した人。その愛した人を、忘れられないと言った高橋さん。仁さんとの会話で、確信してしまった。
高橋さんの心の中には、まだミサさんが居る。
いつも高橋さんが言っている 『上司として』 という言葉が頭の中でぐるぐる廻っていた。
私は……。
結局、トイレに行きたいのとミサさんのことで頭がいっぱいになり、ベッドには入っていたが、とても眠れるような雰囲気ではなかった。
どのぐらい、時間が経ったのだろう。高橋さんが、ドアをそっと開けて戻ってくると、点けてあったスタンドを消して静かに布団を捲ってベッドに入って来た。起きていることがバレないように、ジッと動かないで静かにしていると、高橋さんも眠ったみたいで静かになった。
今だ。今しかない。

