瞑っていた目から、一筋の涙が流れた。その頬を伝う涙を高橋さんの親指が拭ってくれると、右鎖骨下の部分に柔らかくて温かい何かが触れたのが分かった。
それは……多分、高橋さんの唇。
咄嗟に、もう1度グッと力を込めて抵抗しようと試みたけれど、身動きが出来ずに無駄な努力に終わる。
「フッ……。やっぱりな」
エッ……。
真上にいる、高橋さんの顔を見た。
な、何?
やっぱりなって……。
高橋さんが、左手で押さえつけていた私の両手首を離すと両脇に下ろしてくれた。
「あ、あの……」
「確か、お前は俺の誕生日サプライズで来たと言ってたよな? だとすると、お前が誕生日プレゼントってことだよな」
エッ……。
そう言うと、高橋さんは暗闇に目が慣れてきた中で、不適な笑みを浮かべた。
「そ、それは、その……高橋さん……」
すると、高橋さんは何も言わずにTシャツの襟から手を離すと、パーカーのファスナーを上げた。
「フッ……冗談だ。悪かった」
高橋さんは、そう言いながら優しく私の右頬を左手で撫でてくれたので、怖かった気持ちと安堵した思いが重なってまた涙が流れた。その涙を、高橋さんがそっと拭ってくれる。
「何で……何で、こんなこと……するんですか?」
半分、涙声になっている。
すると高橋さんは、少しだけ小首を傾げながらまた涙を拭ってくれた。
「腹が立ったから」
「えっ?」
高橋さんが、口を尖らせながら言った。
腹が立ったって?
「ごめんなさい。私、何か高橋さんにしてしまったんでしょうか。気づかなくて、すみません」
どうしよう。
気づかないうちに、高橋さんを怒らせてしまったの?
「何故、此処に来た?」
「高橋さん……」
やっぱり、黙って此処に来てはいけなかったんだ。高橋さんは、私が来ることを望んでいなかった。
「ごめんなさい。私……」
堪えきれなくなって、両手を顔で覆いながら泣いてしまった。
「正直、お前が来た時は驚いた。驚いたと同時に、心配になった」
エッ……。
すると、覆っていた両手を高橋さんが顔から静かに離した。
「今週は、いろいろあったから。週末は、ゆっくり休んで欲しいと思っていた。でも、きっと明良に頼まれたんだろう? 断って良かったのに、お前はまったく……」
「それは……」
それは……多分、高橋さんの唇。
咄嗟に、もう1度グッと力を込めて抵抗しようと試みたけれど、身動きが出来ずに無駄な努力に終わる。
「フッ……。やっぱりな」
エッ……。
真上にいる、高橋さんの顔を見た。
な、何?
やっぱりなって……。
高橋さんが、左手で押さえつけていた私の両手首を離すと両脇に下ろしてくれた。
「あ、あの……」
「確か、お前は俺の誕生日サプライズで来たと言ってたよな? だとすると、お前が誕生日プレゼントってことだよな」
エッ……。
そう言うと、高橋さんは暗闇に目が慣れてきた中で、不適な笑みを浮かべた。
「そ、それは、その……高橋さん……」
すると、高橋さんは何も言わずにTシャツの襟から手を離すと、パーカーのファスナーを上げた。
「フッ……冗談だ。悪かった」
高橋さんは、そう言いながら優しく私の右頬を左手で撫でてくれたので、怖かった気持ちと安堵した思いが重なってまた涙が流れた。その涙を、高橋さんがそっと拭ってくれる。
「何で……何で、こんなこと……するんですか?」
半分、涙声になっている。
すると高橋さんは、少しだけ小首を傾げながらまた涙を拭ってくれた。
「腹が立ったから」
「えっ?」
高橋さんが、口を尖らせながら言った。
腹が立ったって?
「ごめんなさい。私、何か高橋さんにしてしまったんでしょうか。気づかなくて、すみません」
どうしよう。
気づかないうちに、高橋さんを怒らせてしまったの?
「何故、此処に来た?」
「高橋さん……」
やっぱり、黙って此処に来てはいけなかったんだ。高橋さんは、私が来ることを望んでいなかった。
「ごめんなさい。私……」
堪えきれなくなって、両手を顔で覆いながら泣いてしまった。
「正直、お前が来た時は驚いた。驚いたと同時に、心配になった」
エッ……。
すると、覆っていた両手を高橋さんが顔から静かに離した。
「今週は、いろいろあったから。週末は、ゆっくり休んで欲しいと思っていた。でも、きっと明良に頼まれたんだろう? 断って良かったのに、お前はまったく……」
「それは……」

