高橋さんは、ONとOFFの切り替えは上手いんだ。
「でも、何でそんなことを気にするのかな?」
「えっ? そ、それは、その……」
高橋さんの口からよく出る、 『上司として……』 という言葉が何故かとても気になって仕方がない。勿論、それは会社で上司と部下と立場である以上、当然のことだとは思っている。でも、何でだろう? 最近、妙にその言葉が頭の中で著しく増殖している。
「何か、悩みごとでもある?」
「えっ?」
仁さん……。
「なーんてね」
仁さん?
「人間、本当に悩んでいたら、口にも出せないはずだから。自浄作用で、無意識に自分で何とか解決しようと糸口を見つけようと試みるんだけど、なかなか上手くいかない。でも、もう一歩のところで解決出来そうだとか、解決方法を見つけたと思えた時、自分の考えが間違っていないかどうか、アドバイスを貰いたい時、初めて口に出来ると俺は思ってる。だから、話したくなったら何時でも聞くから」
「仁さん……ありがとうございます」
「まあ、それ以前に運転しながら聞いて応えられるほど、俺は器用じゃないから」
そう言って、仁さんは笑った。
仁さん。いい人なんだな。
そして、途中、寄り道するところがあるからと言われて、仁さんは高速道路のインターを1つ手前で降りて、一軒のお店の駐車場に車を停めた。
「直ぐ戻るから、ちょっと待ってて」
「はい」
緑に囲まれた赤煉瓦のお店は、木漏れ日が窓越しに射し込んで、中でお茶を飲んでいる人達も一層暖かそうに見える。この時間だと、まだモーニングを食べているのかな? それにしても、素敵なお店。地続きて繋がっている奥には、美術館らしき建物も見える。
足早にお店に入っていった仁さんが、辺りを見渡している間にもう戻ってきた。
「お待たせ」
「お帰りなさい」
仁さんは大事そうに持っていた大きな紙袋を後部座席の下に置くと、運転席に乗ってシートベルトを締めた。
「あと、1時間掛からないと思うから」
「はい。よろしくお願いします。此処、素敵なお店ですね」
「ああ。この店、俺達が学生の頃からあるんだ。よく、合宿の帰りに寄ったんだよね。此処の食事やデザートが、美味しいんだよ」
デザート?
「そうなんですか。お店も素敵だし、いいですねぇ」
「ハハッ……。陽子ちゃん。デザート、好きなんだってね」
エッ……。
な、何故、それを?
「でも、何でそんなことを気にするのかな?」
「えっ? そ、それは、その……」
高橋さんの口からよく出る、 『上司として……』 という言葉が何故かとても気になって仕方がない。勿論、それは会社で上司と部下と立場である以上、当然のことだとは思っている。でも、何でだろう? 最近、妙にその言葉が頭の中で著しく増殖している。
「何か、悩みごとでもある?」
「えっ?」
仁さん……。
「なーんてね」
仁さん?
「人間、本当に悩んでいたら、口にも出せないはずだから。自浄作用で、無意識に自分で何とか解決しようと糸口を見つけようと試みるんだけど、なかなか上手くいかない。でも、もう一歩のところで解決出来そうだとか、解決方法を見つけたと思えた時、自分の考えが間違っていないかどうか、アドバイスを貰いたい時、初めて口に出来ると俺は思ってる。だから、話したくなったら何時でも聞くから」
「仁さん……ありがとうございます」
「まあ、それ以前に運転しながら聞いて応えられるほど、俺は器用じゃないから」
そう言って、仁さんは笑った。
仁さん。いい人なんだな。
そして、途中、寄り道するところがあるからと言われて、仁さんは高速道路のインターを1つ手前で降りて、一軒のお店の駐車場に車を停めた。
「直ぐ戻るから、ちょっと待ってて」
「はい」
緑に囲まれた赤煉瓦のお店は、木漏れ日が窓越しに射し込んで、中でお茶を飲んでいる人達も一層暖かそうに見える。この時間だと、まだモーニングを食べているのかな? それにしても、素敵なお店。地続きて繋がっている奥には、美術館らしき建物も見える。
足早にお店に入っていった仁さんが、辺りを見渡している間にもう戻ってきた。
「お待たせ」
「お帰りなさい」
仁さんは大事そうに持っていた大きな紙袋を後部座席の下に置くと、運転席に乗ってシートベルトを締めた。
「あと、1時間掛からないと思うから」
「はい。よろしくお願いします。此処、素敵なお店ですね」
「ああ。この店、俺達が学生の頃からあるんだ。よく、合宿の帰りに寄ったんだよね。此処の食事やデザートが、美味しいんだよ」
デザート?
「そうなんですか。お店も素敵だし、いいですねぇ」
「ハハッ……。陽子ちゃん。デザート、好きなんだってね」
エッ……。
な、何故、それを?

