「もう終わったんだから、少しぐらい俺が弱音を吐いてもいいだろう?」
そんな高橋さんの言葉に、ただ泣きながら頷いているだけで……。
私が落ち着くまで、ずっと高橋さんは優しく頭を撫でてくれていて、少し落ち着くと、高橋さんが私をソファーに座り直させた。
「落ち着いた?」
「はい。ごめんなさい」
「女性は、根本的に男より体力もないし、弱いものだから守られなければいけない。それを分かっていて男が牙を剥いたりしたら、どうしようもない。力でいったら、男に敵うはずなどないんだからな。だから、俺はお前が嫌なら何もしない」
エッ……。
「あの……」
隣に座っている高橋さんを見ると、煙草に火を点けてニコチンを大きく肺に吸い込んでいるのが見て取れた。
「ん?」
煙を吐き出しながら、高橋さんがこちらを向いた。
「それは、あの……キスもしないってことですか?」
うわっ。
何てことを、聞いているんだろう。とんでもないことを聞いてしまって、直ぐに後悔した。
「フッ……」
高橋さんが開いた両膝の間に煙草を持ったまま俯きながら笑っていたが、突然立ち上がってキッチンに向かっていった。
高橋さん? 何をしに行ったんだろう?
すると、キッチンの冷蔵庫が開く音がして、缶のプルタップを開ける音が聞こえて、見るとカウンターキッチン越しに高橋さんが缶ビールを飲んでいる姿が見えた。
あっ……。
そして、視線を感じたのか、飲んでいる高橋さんと視線が合ってしまい、慌てて目を逸らすと、高橋さんが缶ビールを手に持って戻ってきた。
「なぁにぃ? 本当は、キスしたいわけ? 陽子ちゃぁん」
嘘。
な、何? この変わりようは……。
どういうこと?
「フッ……。引っ掛かってやんの」
「えっ?」
急に、先ほどと打って変わって高橋さんは悪戯っぽい笑顔を見せ、右側の口角を僅かにつり上げながら隣に座ると缶ビールを一口飲んだ。
「お前、自分で何言ってるのか分かってるのか? 健康な男子捕まえて、エロ過ぎだろ? 自分から、キスしたいなんて言っちゃってさ」
「ええっ? い、言ってないですよ。だって高橋さんが、今……キャッ……」
言い掛けている途中で、高橋さんが私をソファーの背もたれに押し付け、右横に座ったまま上から覆い被さった。
「言わなかったっけ? キスは、挨拶代わりって」
嘘……。
高橋さんが、私の前髪を左手で掻き上げた。
「高橋さん。酷いです。騙したんですか?」
つい、あんなことを口走っちゃって……騙された。恥ずかしい。もう、どうしよう。
両手で顔を覆いたかったが、それは叶わなかった。
「半分は、本気?」
エッ……。
「お前が、まだあいつとのことを引きずっていたら、無理矢理なんて出来ないだろ?」
「高橋さん……」
本当に、分からない。何処までが本心で、何処からがジョークなのか。未だに、ちっとも分からない。
「どっちなんだ?」
高橋さんが、私をソファーの背もたれから引き起こした。
「えっ? そ、それは……」
うわっ。
緊張して、背筋を伸ばして浅く腰掛けている私の顔を、思いっきり高橋さんが覗きこんだ。
ううぅ……困った。どうしよう……。
「あ、あの……し、して欲しい……で……す」
恥ずかしくて、語尾が小さくなってしまった。顔から火が出そう。
「そう。はい」
右隣に座っている高橋さんは、真横から前を向いたままの私に近づくと、軽く唇に触れるだけのキスをした。
エッ……。
こ、これだけ……? これで、おしまい?
別の意味で放心状態になり、高橋さんを見ながら素早い瞬きを何度もしてしまった。
「何か、ご不満でも?」
ハッ!
も、もしかして、何か顔に出てたのかな?
高橋さんは、ソファーの背もたれに左肘を突いて、肘枕をしながら横向きになって足を組んでいる。その表情は、何とも怪しく微笑んでいて、まるで心の内を見透かされているよう。
「い、いえいえ。何も不満だなんて……。あっ。でも……やっぱり不満です」
嘘だ!
自分でも、何を言っているのか分からなかった。自分からやっぱり不満ですとか、何で言っちゃったんだろう? い、嫌だ。また、エロいとか言われちゃう。
そんな高橋さんの言葉に、ただ泣きながら頷いているだけで……。
私が落ち着くまで、ずっと高橋さんは優しく頭を撫でてくれていて、少し落ち着くと、高橋さんが私をソファーに座り直させた。
「落ち着いた?」
「はい。ごめんなさい」
「女性は、根本的に男より体力もないし、弱いものだから守られなければいけない。それを分かっていて男が牙を剥いたりしたら、どうしようもない。力でいったら、男に敵うはずなどないんだからな。だから、俺はお前が嫌なら何もしない」
エッ……。
「あの……」
隣に座っている高橋さんを見ると、煙草に火を点けてニコチンを大きく肺に吸い込んでいるのが見て取れた。
「ん?」
煙を吐き出しながら、高橋さんがこちらを向いた。
「それは、あの……キスもしないってことですか?」
うわっ。
何てことを、聞いているんだろう。とんでもないことを聞いてしまって、直ぐに後悔した。
「フッ……」
高橋さんが開いた両膝の間に煙草を持ったまま俯きながら笑っていたが、突然立ち上がってキッチンに向かっていった。
高橋さん? 何をしに行ったんだろう?
すると、キッチンの冷蔵庫が開く音がして、缶のプルタップを開ける音が聞こえて、見るとカウンターキッチン越しに高橋さんが缶ビールを飲んでいる姿が見えた。
あっ……。
そして、視線を感じたのか、飲んでいる高橋さんと視線が合ってしまい、慌てて目を逸らすと、高橋さんが缶ビールを手に持って戻ってきた。
「なぁにぃ? 本当は、キスしたいわけ? 陽子ちゃぁん」
嘘。
な、何? この変わりようは……。
どういうこと?
「フッ……。引っ掛かってやんの」
「えっ?」
急に、先ほどと打って変わって高橋さんは悪戯っぽい笑顔を見せ、右側の口角を僅かにつり上げながら隣に座ると缶ビールを一口飲んだ。
「お前、自分で何言ってるのか分かってるのか? 健康な男子捕まえて、エロ過ぎだろ? 自分から、キスしたいなんて言っちゃってさ」
「ええっ? い、言ってないですよ。だって高橋さんが、今……キャッ……」
言い掛けている途中で、高橋さんが私をソファーの背もたれに押し付け、右横に座ったまま上から覆い被さった。
「言わなかったっけ? キスは、挨拶代わりって」
嘘……。
高橋さんが、私の前髪を左手で掻き上げた。
「高橋さん。酷いです。騙したんですか?」
つい、あんなことを口走っちゃって……騙された。恥ずかしい。もう、どうしよう。
両手で顔を覆いたかったが、それは叶わなかった。
「半分は、本気?」
エッ……。
「お前が、まだあいつとのことを引きずっていたら、無理矢理なんて出来ないだろ?」
「高橋さん……」
本当に、分からない。何処までが本心で、何処からがジョークなのか。未だに、ちっとも分からない。
「どっちなんだ?」
高橋さんが、私をソファーの背もたれから引き起こした。
「えっ? そ、それは……」
うわっ。
緊張して、背筋を伸ばして浅く腰掛けている私の顔を、思いっきり高橋さんが覗きこんだ。
ううぅ……困った。どうしよう……。
「あ、あの……し、して欲しい……で……す」
恥ずかしくて、語尾が小さくなってしまった。顔から火が出そう。
「そう。はい」
右隣に座っている高橋さんは、真横から前を向いたままの私に近づくと、軽く唇に触れるだけのキスをした。
エッ……。
こ、これだけ……? これで、おしまい?
別の意味で放心状態になり、高橋さんを見ながら素早い瞬きを何度もしてしまった。
「何か、ご不満でも?」
ハッ!
も、もしかして、何か顔に出てたのかな?
高橋さんは、ソファーの背もたれに左肘を突いて、肘枕をしながら横向きになって足を組んでいる。その表情は、何とも怪しく微笑んでいて、まるで心の内を見透かされているよう。
「い、いえいえ。何も不満だなんて……。あっ。でも……やっぱり不満です」
嘘だ!
自分でも、何を言っているのか分からなかった。自分からやっぱり不満ですとか、何で言っちゃったんだろう? い、嫌だ。また、エロいとか言われちゃう。

