思わず後ろに立っている高橋さんを座ったまま振り返ると、ウーロン茶を飲んでいた高橋さんは、目が合ったので飲むのをやめると、まるで駄々っ子のように口を尖らせてほんのり赤面していた。
ど、どうしたの? 高橋さん?
「い、痛い」
すると、高橋さんが左手で私の頭を持って無理矢理前を向かせた。
「見ないんだったら、もう消すぞ」
「えっ? ちょ、ちょっと待って下さい。今、見ます。見ます」
慌てて1番上の見出しの人のところをクリックすると、画面が変わってその人の宛名と短い文章が画面に表れた。
「こ、これって……」
そこに記されていた文章……。それは、その人に宛てたお礼の文面だった。
二行目の人をクリックしても、三行目の人になってもそれは続いていて、しかも少しずつ文面も違っている。けれど、共通して言えることは、チョコレートを貰ったお礼の文字が必ず綴られていた。
ああ、だからだ。今朝、エレベーターホールで話していた人が言ってたコピーじゃないっていうのは、このことだったんだ。みんな文面が違うって、こういうことだったんだ。
「高橋さん。これ……」
「だから、お前には関係ないって言ったのに……」
再び後ろを振り返ると、珍しく高橋さんがブツブツぼやいていた。
「凄いですよ、これ。絶対、みんな喜びますよね。でも、これだけの文面を作って、何時打っていたんですか?」
とても不思議だった。昨日は、遠藤主任のことがあったから、帰りは高橋さんが家まで送ってくれたし、今朝だって臨時役員会があったから早くから出社していたはず。だとすると、何時打ったんだろう? 早朝?」
「ん? 昨日の夜に文面作って、送信したのは今朝だったかな」
文面は、昨日のうちに作ってあったにせよ、それでも会社の社内メールで打つにはアドレス入力もあるから時間も掛かったはず。
「高橋さん。これ、本当に凄いですよ。メールを貰った方は、きっと嬉しかったでしょうね」
きっと、チョコレートをあげた女子社員は、お礼のメールを貰って嬉しかったと思う。まして、それが他の人とは違う文面で自分にだけのメッセージとして届いたわけだから。
「何だか、感動しちゃいました」
さっきまで、高橋さんにメールのことを話して貰えず、それが原因で思いっきりイライラしていたことなんて、もうすっかり忘れてしまっている。
「まっ。誰かさんからは、貰っていませんけれどねえ……」
「えっ? ええっ? そんな、だって……」
焦って高橋さんの顔が見られなくなり、前に向き直ってパソコンの画面を見ているふりをした。
だって、それどころじゃなかった。遠藤主任とのことがあって、バレンタインデーのことなんて何処かにすっ飛んじゃっていた。それに……高橋さんにチョコレートを渡すなんて、とても恥ずかしくて出来ない。考えただけで、心臓が口から飛び出しそうだもの。
ど、どうしたの? 高橋さん?
「い、痛い」
すると、高橋さんが左手で私の頭を持って無理矢理前を向かせた。
「見ないんだったら、もう消すぞ」
「えっ? ちょ、ちょっと待って下さい。今、見ます。見ます」
慌てて1番上の見出しの人のところをクリックすると、画面が変わってその人の宛名と短い文章が画面に表れた。
「こ、これって……」
そこに記されていた文章……。それは、その人に宛てたお礼の文面だった。
二行目の人をクリックしても、三行目の人になってもそれは続いていて、しかも少しずつ文面も違っている。けれど、共通して言えることは、チョコレートを貰ったお礼の文字が必ず綴られていた。
ああ、だからだ。今朝、エレベーターホールで話していた人が言ってたコピーじゃないっていうのは、このことだったんだ。みんな文面が違うって、こういうことだったんだ。
「高橋さん。これ……」
「だから、お前には関係ないって言ったのに……」
再び後ろを振り返ると、珍しく高橋さんがブツブツぼやいていた。
「凄いですよ、これ。絶対、みんな喜びますよね。でも、これだけの文面を作って、何時打っていたんですか?」
とても不思議だった。昨日は、遠藤主任のことがあったから、帰りは高橋さんが家まで送ってくれたし、今朝だって臨時役員会があったから早くから出社していたはず。だとすると、何時打ったんだろう? 早朝?」
「ん? 昨日の夜に文面作って、送信したのは今朝だったかな」
文面は、昨日のうちに作ってあったにせよ、それでも会社の社内メールで打つにはアドレス入力もあるから時間も掛かったはず。
「高橋さん。これ、本当に凄いですよ。メールを貰った方は、きっと嬉しかったでしょうね」
きっと、チョコレートをあげた女子社員は、お礼のメールを貰って嬉しかったと思う。まして、それが他の人とは違う文面で自分にだけのメッセージとして届いたわけだから。
「何だか、感動しちゃいました」
さっきまで、高橋さんにメールのことを話して貰えず、それが原因で思いっきりイライラしていたことなんて、もうすっかり忘れてしまっている。
「まっ。誰かさんからは、貰っていませんけれどねえ……」
「えっ? ええっ? そんな、だって……」
焦って高橋さんの顔が見られなくなり、前に向き直ってパソコンの画面を見ているふりをした。
だって、それどころじゃなかった。遠藤主任とのことがあって、バレンタインデーのことなんて何処かにすっ飛んじゃっていた。それに……高橋さんにチョコレートを渡すなんて、とても恥ずかしくて出来ない。考えただけで、心臓が口から飛び出しそうだもの。

