キッチンから、コーヒーのいい香りがしている。何だか、この雰囲気いいな。週末の夫婦みたい。
休日、旦那様がソファーに座って新聞を読んでいる光景をよくドラマとかで見るけれど、こうやって目の当たりにすると、少しくすぐったい気分だった。
「何、にやけてるんだ?」
エッ……。
妄想の世界から高橋さんの声に呼び戻されて我に返ると、高橋さんの視線は新聞に向けられていた。
「す、すみません。遅くなりました」
高橋さんが、広げて読んでいた新聞を膝に置いてこちらを見た。
「後で、明良が来るってさ」
「えっ? 明良さん。いらっしゃるんですか?」
「ああ。昨日、明良と別れてから12時間も経たないうちにまた会うらしい。まあ、今日は 来て貰った方がちょっと助かるんだけどな」
「明良さんに来て貰った方が、助かるんですか? 高橋さん。もしかして……ランチを明良さんに作って貰おうとか、思っていません?」
明良さんは料理上手だから、きっとそれも見越してのことなのかな?
「おっ。鋭いじゃん。それもあるが、もう1つ、あいつに活躍して貰わないと」
「活躍?」
何だろう?
明良さんに、活躍して貰うことって……。
私は、此処に居ていいんだろうか? もしかして、邪魔なんじゃ?
「それじゃ、私はもう失礼しますね」
「お前が居なくちゃ、話にならないんだよ」
「はい?」
私が居なくちゃ、話にならないって……どういう意味なんだろう?
「お前さあ……」
高橋さんがソファーから立ち上がり、備え付けのテーブルに畳んだ新聞を置くと、吸いかけの煙草の灰を灰皿に落としてからキッチンに入って来て、私の目の前に立った。
何?
「ちょっと、ジッとしてろ」
「えっ?」
高橋さんが、煙草を口に咥えて煙たそうな表情をしながら、両手を私の頭の上の方に持ち上げた。
何だろう?
私の頭の上に、何かあるの?
「ひまわりか?」
高橋さんは煙草を咥えているので、籠もった声で煙たそうな顔をしながら、左手で私の右手を持つと私の掌に何かをのせた。
な、何?
掌の上にのったものを凝視すると、細長い黒いものがのっていた。
あっ……。
さっき洗面所で顔を洗う時に、両サイドを留めていたピンの1つだった。
「す、すみません」
「フッ……。お前、本当に子供みたいだよな。鎧つけて出て来てみたり、お花畑にしてみたり」
うっ。
またしても、子供扱いされてしまった。
そんな高橋さんの言葉に言い返せずに、キッチンで朝食を作ることに専念しようとしたが、勿論、直ぐ傍に高橋さんが居る。
一緒に作ろうとは言わないが、きっと私だけだと何をやらかすか分からないから、見ていてくれているのかもしれない。それでも高橋さんは、コーヒーカップを用意したり、お皿を黙って傍に置いてくれたりしている。
何か、いいな。この雰囲気。
「前にも、明良さんと一緒にお料理作った時も、楽しかったですよね」
「ん? ああ。あの時は、確か……お前が足を怪我していた時だったから、殆ど明良と俺が作った気がするが?」
休日、旦那様がソファーに座って新聞を読んでいる光景をよくドラマとかで見るけれど、こうやって目の当たりにすると、少しくすぐったい気分だった。
「何、にやけてるんだ?」
エッ……。
妄想の世界から高橋さんの声に呼び戻されて我に返ると、高橋さんの視線は新聞に向けられていた。
「す、すみません。遅くなりました」
高橋さんが、広げて読んでいた新聞を膝に置いてこちらを見た。
「後で、明良が来るってさ」
「えっ? 明良さん。いらっしゃるんですか?」
「ああ。昨日、明良と別れてから12時間も経たないうちにまた会うらしい。まあ、今日は 来て貰った方がちょっと助かるんだけどな」
「明良さんに来て貰った方が、助かるんですか? 高橋さん。もしかして……ランチを明良さんに作って貰おうとか、思っていません?」
明良さんは料理上手だから、きっとそれも見越してのことなのかな?
「おっ。鋭いじゃん。それもあるが、もう1つ、あいつに活躍して貰わないと」
「活躍?」
何だろう?
明良さんに、活躍して貰うことって……。
私は、此処に居ていいんだろうか? もしかして、邪魔なんじゃ?
「それじゃ、私はもう失礼しますね」
「お前が居なくちゃ、話にならないんだよ」
「はい?」
私が居なくちゃ、話にならないって……どういう意味なんだろう?
「お前さあ……」
高橋さんがソファーから立ち上がり、備え付けのテーブルに畳んだ新聞を置くと、吸いかけの煙草の灰を灰皿に落としてからキッチンに入って来て、私の目の前に立った。
何?
「ちょっと、ジッとしてろ」
「えっ?」
高橋さんが、煙草を口に咥えて煙たそうな表情をしながら、両手を私の頭の上の方に持ち上げた。
何だろう?
私の頭の上に、何かあるの?
「ひまわりか?」
高橋さんは煙草を咥えているので、籠もった声で煙たそうな顔をしながら、左手で私の右手を持つと私の掌に何かをのせた。
な、何?
掌の上にのったものを凝視すると、細長い黒いものがのっていた。
あっ……。
さっき洗面所で顔を洗う時に、両サイドを留めていたピンの1つだった。
「す、すみません」
「フッ……。お前、本当に子供みたいだよな。鎧つけて出て来てみたり、お花畑にしてみたり」
うっ。
またしても、子供扱いされてしまった。
そんな高橋さんの言葉に言い返せずに、キッチンで朝食を作ることに専念しようとしたが、勿論、直ぐ傍に高橋さんが居る。
一緒に作ろうとは言わないが、きっと私だけだと何をやらかすか分からないから、見ていてくれているのかもしれない。それでも高橋さんは、コーヒーカップを用意したり、お皿を黙って傍に置いてくれたりしている。
何か、いいな。この雰囲気。
「前にも、明良さんと一緒にお料理作った時も、楽しかったですよね」
「ん? ああ。あの時は、確か……お前が足を怪我していた時だったから、殆ど明良と俺が作った気がするが?」

