もう1つって、何だろう?
勇気って……。
高橋さんがバスルームから戻ってくると、キッチンの集中ガスリモコンでお風呂のスイッチを押した。
『お湯張りをします』 と女性のアナウンスがリビングに響く。
キッチンの冷蔵庫から缶ビールを出して、高橋さんが左手に持ちながら戻ってきた。
ソファーに腰掛けて缶ビールを開けてひと口飲むと、高橋さんが私の方へ向き直った。
な、何だろう?
高橋さんに見られていることで、改めて緊張して身構えてしまう。
「もし、お前が耐えられないと思うのなら、俺は今回の件を査問委員会に掛けてもいいと思っている」
査問委員会って……。
「高橋……さん」
その言葉に、唇が震えながら高橋さんの名前を呼んでいた。
別名、懲罰委員会ともいう。
この委員会に掛けられると、懲戒及び諭旨免職・降格・異動等、委員会の裁定によって掛けられた人の処遇が決まる。
つまり、遠藤主任が私にした行為を、高橋さんは査問委員会に掛けてもいいと……。
「でも……」
「あいつは、それだけのことをしている」
「高橋さん」
高橋さんは視線を外すと、後ろのドアの方に見ていた。
その目は、先ほど護身術を教えてくれていた時とは、とてもかけ離れた冷徹で色を成してない、会社で遠藤主任に向けられたものと同じだった。
「ただ……証拠がない。勿論、一緒にいた神田さんにも証言をお願いするが、実際その場を見ていないとなると、お前の証言が必要になってくる」
「えっ?」
私の証言……って。
「無論、大勢の前で話すわけじゃない。今回の場合、上司……否、所属長は総務部長だから総務部長に話すことになるんだが」
高橋さんは、遠藤主任の名前を敢えて出そうとしなかった。きっと、私に気を遣ってくれているのだろう。
「高橋さんに、お話した内容では駄目なんですか?」
勇気って……。
高橋さんがバスルームから戻ってくると、キッチンの集中ガスリモコンでお風呂のスイッチを押した。
『お湯張りをします』 と女性のアナウンスがリビングに響く。
キッチンの冷蔵庫から缶ビールを出して、高橋さんが左手に持ちながら戻ってきた。
ソファーに腰掛けて缶ビールを開けてひと口飲むと、高橋さんが私の方へ向き直った。
な、何だろう?
高橋さんに見られていることで、改めて緊張して身構えてしまう。
「もし、お前が耐えられないと思うのなら、俺は今回の件を査問委員会に掛けてもいいと思っている」
査問委員会って……。
「高橋……さん」
その言葉に、唇が震えながら高橋さんの名前を呼んでいた。
別名、懲罰委員会ともいう。
この委員会に掛けられると、懲戒及び諭旨免職・降格・異動等、委員会の裁定によって掛けられた人の処遇が決まる。
つまり、遠藤主任が私にした行為を、高橋さんは査問委員会に掛けてもいいと……。
「でも……」
「あいつは、それだけのことをしている」
「高橋さん」
高橋さんは視線を外すと、後ろのドアの方に見ていた。
その目は、先ほど護身術を教えてくれていた時とは、とてもかけ離れた冷徹で色を成してない、会社で遠藤主任に向けられたものと同じだった。
「ただ……証拠がない。勿論、一緒にいた神田さんにも証言をお願いするが、実際その場を見ていないとなると、お前の証言が必要になってくる」
「えっ?」
私の証言……って。
「無論、大勢の前で話すわけじゃない。今回の場合、上司……否、所属長は総務部長だから総務部長に話すことになるんだが」
高橋さんは、遠藤主任の名前を敢えて出そうとしなかった。きっと、私に気を遣ってくれているのだろう。
「高橋さんに、お話した内容では駄目なんですか?」

