新そよ風に乗って ④ 〜焦心〜

どういう意味なの?
バックが厄介って、何?
もしかして、私のことで高橋さんに凄く迷惑を掛けてしまうんじゃ……。
「大丈夫だよ」
エッ……。
「そんな深刻な顔しなくても、大丈夫だから」
「明良さん。でも……」
明良さんは、自分でワインをグラスに注ぐと一口飲んだ。
「貴博が、あんな風に言うってことは、もう殆ど打つ手は考えているってことだから」
明良さん……。
「ハハッ……。俺の言うこと、信じられないって顔してない?」
「そ、そんなことは……」
「陽子ちゃん。何年、貴博と一緒に居ると思う?」
明良さんが微笑みながらそう言うと、付け合わせのミニポテトをフォークに刺した。
「貴博は、陽子ちゃんも知ってるとおり、あまり口数が多い方じゃない。何かを考えている時は、おくびにもそれを表に出さないし、聞かれない限り応えないことだってある。余計なことは、言わない男だからね。だけど、聞かれてまずいことじゃない限り、聞けば直球で応えてくる。まあ、回りくどく言うようなタイプでもないからだけど。だから、核心をズバッと突かれると、こっちが焦ることも多いんだ。貴博に、誤魔化しは効かないから」
「そうなんですか……」
「いつも一緒に居て、上司として見ても、貴博はそつがないし、隙もないでしょ?」
「はい」
それは、いちばん良く分かっていた。
高橋さんの行動を見ていて、いつもそう感じているから。
「でしょう? だから、大丈夫。貴博が、ああいう風に言ったってことは、もう打つ手は考えているってこと」
「でも、高橋さんにご迷惑が掛かってしまうんじゃ……」
「迷惑? 貴博が迷惑だと思ったり、感じていたら、最初からそんな橋は渡らないよ」
明良さん。
「陽子ちゃんの上司として、またこれは俺の考えでもあるけど、男としてそういうことは許せない。その行動と考えを全うするだけだから」
「はあ……」
「何が、はあなんだ?」
うわっ。