ひと駅分の彼氏

この事実だけは絶対に否定できなかった。


ひと駅分しか会えない真琴が自分の作り出した幻覚だったとしても、否定することであの真琴がいなくなってしまうような気がして辛かった。


「ひと駅分だけなんだよ。たったそれだけ真琴に会うことも許されないの?」


私はズルズルとその場に座り込んでしまった。


涙は止まらず、何度も何度もしゃくりあげる。


次の授業はとっくに始まっていたけれど、教室へ戻る気持ちにもなれなかった。


そんな私の手を優花里が握りしめた。


「紗耶、行くよ」


「え?」


行くってどこへ?


そう質問する前に強引に立ち上がらされていた。