ひと駅分の彼氏

叫ぶが、遅かった。


真琴が立ち上がるのとトラックが真琴の体に激突するのはほぼ同時だったのだ。


真琴の体は大きく跳ね上げられた。


それを見ていて通行人が甲高い悲鳴を上げる。


私は呆然としてしまってその場から動くことができなかった。


頭の中は真っ白で、救急車も警察も他の人達が呼んでくれた。


遠くから救急車の音が聞こえてきた時、私はよくやく金縛りが解けて真琴にかけよったのだ。


真琴の顔の近くにヒザを付けて座り込むと、コンクリートに赤いシミが広がっていった。


頭部を強く打ち付けてしまったようだ。


「真琴……」


震える声で名前を呼んで、震える手で真琴の手を握りしめた。


真琴はキツク目を閉じていて開けてくれない。


「真琴ぉ!!」


気がつけば叫んでいた。


渾身の力を込めて、愛する人の名前を……。