ひと駅分の彼氏

「なんでって……」


私は優花里に本当のことを聞いてほしくて言っただけだ。


優花里は私の親友だし、私の変化にいち早く気が付いて気にしてくれる。


私だって、優花里のことは大好きだ。


「あ、優花里びっくりしてるんでしょう? 真琴が突然戻ってきたなんて言ったから。もしかして、私が真琴に踊らされたりするんじゃないかって、心配してる?」


フラッといなくなった彼氏がフラッと戻ってきて、彼女の人生を引っ掻き回してしまうような映画を見たことがある。


「なに言ってるの紗耶。真琴は戻ってこないよ! もう二度と戻ってこないの!」


優花里の言葉に一瞬頭の中が真っ白になる。


真琴は戻ってこない。


二度と戻ってこない。


優花里に同じことを言われた記憶があった。


私はその時スマホを両手で握りしめていて、何度も何度も真琴に電話をかけていた。


それでも電話はつながらなくて、指先から血が滲むくらいに繰り返し電話して……。


『もうやめて紗耶! 真琴は戻ってこないんだから! 二度と、戻ってこないんだから!』


あのときも優花里は泣いていた。


泣いて、私を背中から強く抱きしめてくれていた。