ひと駅分の彼氏

呆然とした状態だということがわかった。


「嘘じゃないの。私、毎朝真琴と会ってるの。一ヶ月以上前にいきなりいなくなったのにね、戻ってきたんだよ」


説明しながら私は自分が笑顔になっていくことに気が付いた。


電車内での真琴との会話を思い出すと楽しくて、自然と頬が緩んでしまうのだ。


「今日は去年の夏休みの思い出話しをしたの。私と真琴が海に言ったことは話したよね? あの時、桜貝を2人で拾ってさぁ――」


つい、調子に乗って話し続けようとしたときだった。


ふいにパンッ! と乾いた音が聞こえてきて、次に頬が傷んだ。


なにが起こったのかしばらくわからなかったけれど、目の前で泣いている優花里が私の妄り頬をはつったのだと理解した。


どうして?


わけがわからずに混乱する私を前に、優花里は涙をボロボロとこぼし始めた。


頬はヒリヒリと痛むし、親友には泣かれるし、私は棒立ちになるしかなかった。


「なんでそんなこと言うの!?」


優花里は絶叫に近い声で叫ぶ。


その声がビリビリと私の鼓膜を震わせた。


今まで一緒にいて、こんなにも大きな声を上げた優花里を見たことがなかった。