ひと駅分の彼氏

☆☆☆

2人でやってきたのは放課後にならないと生徒たちの行き来がない渡り廊下だった。


この廊下を渡って向こうにあるのは部室棟だった。


放課後には賑わう渡り廊下は今はとても静かで、私と優花里の2人しかいない。


部室棟の電気はすべて消されていて、寒々しさを感じた。


「あのね、驚かずに聞いてくれる?」


息を大きく吸い込み、クッションを置いて優花里を見つめる。


優花里は真剣な表情で頷いてくれた。


そんな優花里を見ていたらどんなことでも話せる気になってくる。


「実は私ね……」


毎朝ひと駅分だけ、真琴と会っているの。


それは自分の声として口から出てきたのに、まるで自分の体内で反響しているかのように聞こえた。


こうして人に話すことは初めてだったし、自分自身真琴とのことを口に出したことが信じられなかったからだ。


「え?」


しばらくの沈黙が続いた後、優花里は小さくそう言った。


目は見開かれて口はポカンと開いている。