「青さん。コーヒー淹れました。休憩にしません、か?」



邪魔になっちゃうかな?大丈夫かな?



声をかけることを躊躇しながら、青さんに話しかけた。



難しい表情を浮かべて、ソファーに仰向けで寝転んでいた青さんが、ゆっくりと起き上がった。



その表情は、瞬時に柔らかなものに変わっていて、なんだかこちらまで嬉しくなる。



「蒼ちゃん、ありがと。ほんとは、ね?さっきからコーヒーの香りが気になって気になって」



蒼ちゃんが声をかけてくれるのを、待ってたんだ。



起き上がった青さんの胸の上には、開いて伏せた台本が載っている。


「難しいんですか?今度の作品」


「んー、そうでもない、よ?」


「でもずっと、難しそうなカオ、してたから」


「たまに真剣な表情も、蒼ちゃんに見せとかないと。カッコ良かったでしょ?」


どう?惚れ直した?



なんて、今度はおどけた表情を浮かべるから、笑ってしまう。