同い年のはずなのに、
博識で落ち着いていて面倒見が良くて、
顔立ちも整っている彼は、

日々女生徒から熱い視線を贈られていた。
私もその内の1人なわけで。

きっと、彼と仲がいい女子の中では
上位になるくらいに
仲はいいと思っているけれど……
そこ止まり。


考えていると
心にモヤモヤとした感情が溢れてきたので、
今日はお店を出て帰ることにした。

お店を出て
しばらく帰路であるコンクリートで
塗装された道を歩いていると
後ろから声が聴こえる。


「あ!美那穂ちゃーん!今帰り?」


この声を聞き間違えるはずがない。

歩く足を止めて、ゆっくり後ろを振り返る。


「……悠希くん!今帰りだよ。」

「そっか!じゃあ、一緒に帰ろう?」


そう、この声は私の大好きな人の声。

名前を呼ばれるだけで、
疲れや悩みも全部吹っ飛んでしまう……

彼の声はまるで魔法みたいだ。