薙野清香の【平安・現世】回顧録

「先に園に入ってしまえばこの人混みだ。或いは撒けるかもしれないと期待していたが」


 道理で写真を撮る時、崇臣の落ち着きがなかったわけだ。とはいえ、清香たちは事情も把握していなかったわけで。


「なるほどね。まぁ、それは致し方ないでしょ」


 そう言って清香は苦笑を漏らした。崇臣は未だ不服そうな表情をしていたが、諦めたように小さくため息を吐いた。


「ねぇお姉ちゃん、アトラクションに並ぶ前に、飲み物買っておこうって話してるんだけど、何が良い?」


 ふと前を見ると、芹香がニコニコと微笑みながら、清香たちの方を振り返っていた。


「あぁ!そんなの私が買ってくるから。芹香はここで皆と待ってて」

「でも、お姉ちゃん一人じゃ大変だし」

「俺も行くから大丈夫だよ」

(えっ!?)


 そう言ったのは東條だった。前世の彼を知る清香としては意外過ぎる申し出だ。