「主がお前の本が欲しいというのでな」
「……?へぇ……そうなの」
意外なことに、清香は目を丸くした。
(本なんて、無料でも要らないってこと、多々あるのに。現世で私の本を欲しがるなんて)
これが他の人間ならば、芹香へのポイント稼ぎのつもりかもしれない、と勘繰っただろうが、前世の東條の人柄を思えばそんなことはないだろう。けれど、今の東條が清香の本を欲しがるというのは、俄かには信じがたいことだった。
(前世の記憶があるなら或いはって所だけど……)
そんなことを考えて清香は苦笑いをした。あり得ない妄想に心をときめかせながら首を横に振る。自分の都合の良いように考えては、後々痛い目を見る。それは前世と現世で痛いほど学んだことだ。
「……それから、二人はどうやら俺たちの関係についても、勘繰っているらしい」
崇臣は淡々とそう言い放った。あまりの引っ掛かりのなさに、清香は初め、言葉の意味を正しく理解できなかった。
(関係?俺たちって……崇臣と私?で、勘繰り…………?)
首を傾げながら唇を尖らせる清香に、崇臣は小さく笑った。何やら小ばかにするような笑い方だ。
「……?へぇ……そうなの」
意外なことに、清香は目を丸くした。
(本なんて、無料でも要らないってこと、多々あるのに。現世で私の本を欲しがるなんて)
これが他の人間ならば、芹香へのポイント稼ぎのつもりかもしれない、と勘繰っただろうが、前世の東條の人柄を思えばそんなことはないだろう。けれど、今の東條が清香の本を欲しがるというのは、俄かには信じがたいことだった。
(前世の記憶があるなら或いはって所だけど……)
そんなことを考えて清香は苦笑いをした。あり得ない妄想に心をときめかせながら首を横に振る。自分の都合の良いように考えては、後々痛い目を見る。それは前世と現世で痛いほど学んだことだ。
「……それから、二人はどうやら俺たちの関係についても、勘繰っているらしい」
崇臣は淡々とそう言い放った。あまりの引っ掛かりのなさに、清香は初め、言葉の意味を正しく理解できなかった。
(関係?俺たちって……崇臣と私?で、勘繰り…………?)
首を傾げながら唇を尖らせる清香に、崇臣は小さく笑った。何やら小ばかにするような笑い方だ。



