(確かに、あの女が芹香の邪魔をするなら、私は全力で阻止するけど)


 どうやら清香の行動原理は、既に崇臣に読まれてしまっているらしい。崇臣の表情は確信に満ちていた。何とも気に喰わないが、崇臣を手を組むことは清香にとってもメリットがあるだろう。寧ろメリットの方が大きいかもしれない。
 小さくため息を吐きながら、清香は諦めたように笑った。


「まぁ、ね」


 清香の言葉に、崇臣は満足げに微笑む。それから徐に自身の拳を握ると、清香の顔の辺りでピタっと止めた。


「よろしく頼む」


 まるで、戦友でも見つけたかのような、キラキラとした瞳を崇臣が向ける。勝ったとでも言いたげな表情が何とも憎らしい。
 けれど清香は、自身も拳を握ると、それを顔の前に掲げた。ゴツンと音がして、二人の拳が重なり合う。清香も思わずニヤリと笑った。

 かくしてこの日、清香と崇臣の“従者同盟”は結ばれたのである。