「そうだろうね。本当はあのとき、右近とこうして気持ちを共有できていたら良かったのだけど」
「………申し訳ございません。宮様のいない後宮には、どうしても戻れませんでした。あそこには、宮様の思い出が多すぎて」
清香が静かに頭を下げる。東條は首を横に振った。
「……分かっているよ。俺も清香と一緒だから。
それにね、今の俺には宮が亡くなって以降の記憶は殆ど残っていないんだ。美玖のことも、右近の表情を見て朧げに思い出したぐらいだった。本当に、前世の俺の世界は、宮が……芹香がいたから成り立っていたんだよ」
東條が寂しそうに、愛しげに笑う。
物心ついてから十数年。こんな形で亡くなった前世の芹香への想いが聞けるなど、清香は想像もしていなかった。涙が止めどなく零れ落ちる。
(宮様……宮様っ…………)
中宮に――――芹香に東條の想いは届いているだろうか――――そうであったらとても嬉しい。清香はそっと目を瞑った。
「………申し訳ございません。宮様のいない後宮には、どうしても戻れませんでした。あそこには、宮様の思い出が多すぎて」
清香が静かに頭を下げる。東條は首を横に振った。
「……分かっているよ。俺も清香と一緒だから。
それにね、今の俺には宮が亡くなって以降の記憶は殆ど残っていないんだ。美玖のことも、右近の表情を見て朧げに思い出したぐらいだった。本当に、前世の俺の世界は、宮が……芹香がいたから成り立っていたんだよ」
東條が寂しそうに、愛しげに笑う。
物心ついてから十数年。こんな形で亡くなった前世の芹香への想いが聞けるなど、清香は想像もしていなかった。涙が止めどなく零れ落ちる。
(宮様……宮様っ…………)
中宮に――――芹香に東條の想いは届いているだろうか――――そうであったらとても嬉しい。清香はそっと目を瞑った。



