(これで見惚れないほうがどうかしてるわ!)


 清香は誇らしげに笑いながら、芹香の髪の毛にくっついた桜の花びらを手に取った。


「……その写真、どうせまたSNSにアップするんでしょう?」

「当然!こんなに可愛いんだもの!皆に見てもらわなくちゃ」


 芹香は呆れたような表情を浮かべながらも、ゆっくりと目的地に向かって歩き始めた。清香も慌てて後を追う。気付けば大分時間をロスしていた。


「前にも聞いたけど……お姉ちゃんさぁ、友達に変わってるって言われない?」

「そんなこと……ないわよ?」


 清香の目が奇妙に動いた。聡い芹香がそれを見逃すはずもない。小さく唇を尖らせながら、芹香は目を瞑った。


「お姉ちゃん……自分だって美人なのに、小さな頃から私の事ばっかり!どうせなら自分を撮れば良いのよ。それに頭だって、私はお姉ちゃんに敵わないし」


 しょんぼりと頭を垂れながら桜並木を進む芹香に清香は笑った。芹香が言うことは半分本当で、もう半分は誤りだ。