ツカツカと靴音を響かせながら、紫が清香の前に躍り出る。夏の太陽に負けないぐらいギラギラと敵対心に燃えた瞳。相変わらずガッツリと嫌われているらしい。胸が焼けるような感覚を覚えながら、清香はこっそりとため息を吐いた。
(そんなに嫌いなら、私に関わらなきゃいいのに)
紫の行動原理は清香には理解が及ばない。ポリポリと頭を掻きながら、清香はチラリと紫を睨んだ。
すると、何を思ったのか、紫はカバンの中から一冊の本を取り出す。テカテカと光沢のある紙に印刷された、文庫本と同じサイズのものだ。
「これ、あげるわ」
「あげるって……」
清香は戸惑いつつも、差し出された本を受け取った。ペラペラとページを捲りながら、内容にざっくりと目を通していく。
(小説……か)
どうやら紫の書いたものらしい。前世と同じ文章の癖が出ていた。
「どう? 私はどんどん先に進んでいるのよ。あなたと違って」
紫は言いながら、フンと大きく鼻を鳴らす。清香は未だ椅子に腰かけ、紫の書いた本を読み続けていた。
(先に進んでいるとは……?)
ツッコミを入れようか迷ったものの、今はそれより中身の方が気になる。清香は返事をしないことにした。
(そんなに嫌いなら、私に関わらなきゃいいのに)
紫の行動原理は清香には理解が及ばない。ポリポリと頭を掻きながら、清香はチラリと紫を睨んだ。
すると、何を思ったのか、紫はカバンの中から一冊の本を取り出す。テカテカと光沢のある紙に印刷された、文庫本と同じサイズのものだ。
「これ、あげるわ」
「あげるって……」
清香は戸惑いつつも、差し出された本を受け取った。ペラペラとページを捲りながら、内容にざっくりと目を通していく。
(小説……か)
どうやら紫の書いたものらしい。前世と同じ文章の癖が出ていた。
「どう? 私はどんどん先に進んでいるのよ。あなたと違って」
紫は言いながら、フンと大きく鼻を鳴らす。清香は未だ椅子に腰かけ、紫の書いた本を読み続けていた。
(先に進んでいるとは……?)
ツッコミを入れようか迷ったものの、今はそれより中身の方が気になる。清香は返事をしないことにした。



