前世で中宮――芹香が若くして亡くなった後のこと。中宮と帝との間に生まれた三人の子供たちは、中宮の妹――通称御匣殿に預けられ、しばらくの間養育されることになった。

 帝は、中宮の忘れ形見である子どもたちの元へと足繁く通った。
 けれどなお、帝は最愛の人を亡くして寂しかった。悲しかった。

 そんな時に、中宮によく似た御匣殿の中に救いを見出した。そして帝は、やがて御匣殿のことを愛するようになったらしい。御匣殿は女御となり、その後帝の子を懐妊したのだという。

 その御匣殿の生まれ変わりが清香と芹香の従妹、美玖なのである。