「平安時代に関する書物ばかりだな」
崇臣はそう言って、清香が選ばなかったうちの一冊を手に取り、ペラペラと中を捲った。
清香は返事もしないまま、目当ての章を開くと、黙々と文字を追う。崇臣が興味深げに清香の手元を覗き込んでいるが、それに構っているだけの余裕は無かった。
(あった!)
とあるページに辿り着くと、清香はピタリと指を止めた。
東條が帝だったころの記録――――それらに関する考察が、この章には記されている。そこには当然、芹香が中宮であったときのことや、崇臣のこと、それから清香に関することも記されていた。
清香が必死に文字を追う。芹香が出てこないため、これまであまり読んでこなかった章の後半だ。前世の美玖に関する記述がここに記されていた。
崇臣はそう言って、清香が選ばなかったうちの一冊を手に取り、ペラペラと中を捲った。
清香は返事もしないまま、目当ての章を開くと、黙々と文字を追う。崇臣が興味深げに清香の手元を覗き込んでいるが、それに構っているだけの余裕は無かった。
(あった!)
とあるページに辿り着くと、清香はピタリと指を止めた。
東條が帝だったころの記録――――それらに関する考察が、この章には記されている。そこには当然、芹香が中宮であったときのことや、崇臣のこと、それから清香に関することも記されていた。
清香が必死に文字を追う。芹香が出てこないため、これまであまり読んでこなかった章の後半だ。前世の美玖に関する記述がここに記されていた。



